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みらく

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いつの話だよって感じですがミラクル更新しました。
ちなみに前回は3月でした。半年…(しろめ
理想と現実は違ったっていう回でした。
すべてを失い、存在があやふやな自分。
唯一、自分を知っているのは恋人ひとりだけ。
狭い、とても狭い、愛おしい世界。
本当に恋人だけを見ていたなら、あるいは生きていけたかもしれない。
すべてを捨てた直後の景なら、あるいはその世界を喜んでいたかもしれない。
でも、景にはできない。「今の景」には。
「その記憶」が、その空白が、彼の世界に穴を開けた。
無彩色だった彼の世界に、色をつけてしまった。
景は、気付いてしまった。
元通りの世界の中で、自分だけが異端であるということ。
自分だけが、あの頃から変わってしまったこと。
空っぽで歪で、がらんどうな自分。
彼が求めていたのは、「元の世界」。
彼女が生きて笑って、これまで通りに過ごせる世界。
――そこには「自分」も含まれていたのだと、すべてを捨て去ってから、彼はやっと気が付いたのだ。

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