wiki

君笑サンクトス(メインキャラ以外完了)

主要人物

二ノ瀬 夕鷹(ニノセ ユタカ)

朔司 椅遊(サクシ イユ)

真琴六香(マコト リッカ)

依居 梨音(イオリ リオン)

猟犬(ザイルハイド)

フェルベス皇国とイースルシア王国間で窃盗を働く盗賊組織。数年前に、イースルシア人の榊 遼(サカキ リョウ)が立ち上げた。本拠地はパセラ郊外にある。 標的は、税金を過剰に取り立てる貴族のみで、殺しはせず窃盗を行い、奪った金品は住民などに分け与える、いわゆる義賊集団とされる。その性質から、民には歓迎されるが、貴族たちからは毛嫌いされている。 ザイルハイドの集会所は街の中などにひそんでいるが、入るためには牙を剥いた狼を象った金板〈クレスト〉の提示を求められる。各集会所にはバルディアから輸入した電話が引かれており、情報網の広さと伝達の速さにおいては国家組織も遅れをとるほど。

五宮 玲哉(イツミヤ レイヤ)

空良 采(アキラ サイ)

飛鳥 楸(アスカ ヒサギ)

依居 天乃(イオリ アマノ)

逆上舞歌(サガミ マイカ)

猟犬(ザイルハイド)所属のクランネの美少女。属性は〈風〉。媒体は右の薬指にはめられた指輪。緩くウェーブのかかった水色の髪と桃色の瞳を持ち、黒いドレスに身を包んでいる。優雅な振る舞いと口調も相まって大人っぽく見えるが、年は六香より下、梨音より上(14,5歳)。傲慢な態度をとるが、感情の起伏が激しく、良くも悪くも自分の心に正直で嘘偽りがない。6つ違いの兄・詩嵐を慕っており、兄のためなら自分のことは省みない。
元々は、階級の高いクランネの貴族。幼い頃に両親は亡くなっており、たった一人の肉親である詩嵐とともに生きてきた。
12歳の頃、当時18歳の詩嵐が、依頼主の貴族によって濡れ衣を着せられ、天法院(セオディス)の判決で、兄妹は死罪または国外追放となり亡命をすることとなった。舞歌は、詩嵐を貶めた貴族を憎むようになる。
国外ではザイルハイドに所属し、生計を立てていたが、ザイルハイド新総帥・玲哉が「二ノ瀬夕鷹を殺し、朔司椅遊を捕まえた者に大金を与える」と組織内に広報した。舞歌はそれを使ってセオディスに干渉し、自分たちを貶めた貴族を失墜させる計画を立てた。
2章Concertoで、詩嵐と二手に分かれて夕鷹一行に奇襲を仕掛ける。舞歌は六香と梨音の足止めをするが、梨音の魔術の前に敗北。梨音に身の上を話すうち復讐をやめることを決意、バルジアーに投降しザイルハイドから足を洗うことにする。
7章Sanctusでフェルベス側のバルジアー、鈴桜の部下として三国戦争の戦場で夕鷹一行と再会する。身分証明がなくフェルベス軍にも襲われていた彼らの保証人となり、前線まで導いた。いずれ詩嵐を幹部にし、舞歌はその補佐官になるのが夢。鈴桜には尊敬の念を抱いており、現役でいてほしいと思っている。

逆上詩嵐(サガミ シラン)

猟犬(ザイルハイド)所属の青年。高位のクランネ。属性は〈炎〉。媒体は刀。ストレートの蒼い髪と紫の瞳を持ち、黒い衣装を着ている。21歳。物静かで謙虚、妹の舞歌に押され気味。舞歌の幸せが第一。
元々は、階級の高いクランネの貴族。物心ついた頃に両親を亡くしており、舞歌を守るために生きてきた。
18歳の頃、自分たちより地位が高いクランネの旅行中の護衛依頼を受ける。しかし旅立ちの前日に、依頼主の妻が焼死体で発見され、炎のクランネである詩嵐が真っ先に疑われた。詩嵐は濡れ衣を着せられたまま、天法院(セオディス)の審議にかけられることになった。クランネの古い掟では同士討ちは厳しい処罰を与えるようになっており、セオディスはそれに則って、逆上兄妹に死罪または国外追放を言い渡した。兄妹はセオディスの手先に追われ、命からがら国外へ逃亡してきた。
国外ではザイルハイドに所属し生計を立てていたが、新総帥の広報を聞いて復讐に動き出した舞歌に追い立てられ、彼女の気が晴れるならと復讐に付き合うことにする。
2章Concertoで、舞歌と二手に分かれて夕鷹一行を襲撃、詩嵐は椅遊を連れた夕鷹に奇襲する。しかし鈴桜率いるバルジアーに包囲され、妹を残して死ねないと判断し降伏。バルジアーに捕縛され、ザイルハイドから足を洗った。
7章Sanctusでフェルベス側のバルジアー、鈴桜の部下として三国戦争の戦場で夕鷹一行と再会する。身分証明がなくフェルベス軍にも襲われていた彼らの保証人となり、前線まで導いた。舞歌は詩嵐に幹部になるのを勧めているが、本人は鈴桜の部下で満足しているかつ幹部の適性があると思っておらず及び腰(鈴桜は十分適性があると評価している)。

榊 遼(サカキ リョウ)

前ザイルハイド総帥。物語開始時点で(鈴桜から聞いた時点では1週間前)、パセラ郊外にある自邸で玲哉に殺されている。死因は、背部の巨大な切り傷からの失血死。その他、屋敷にいた連中もすべて殺されていた。
昔、夕鷹と手合わせ程度に戦ったことがあるが、夕鷹は榊の背をとれなかったほどの実力者だった。

警護組織(リグガースト)

フェルベス皇国・イースルシア王国共通で運営されている国家機関。一般に「警察」と呼ばれ、国民の安全を守り、治安維持を主な役割とする。本部はフェルベスのシーヴァ。 数年前、フェルベス軍部で、これまでの軍組織と治安維持組織を分ける方針が決まり、イースルシアと合同組織として設立した。幹部は、同国の軍部がそれぞれ任命する。

追行庇護(バルジアー)

鈴桜烙獅(レイオウ ラクシ)

バルジアー・フェルベス側の幹部。一つに束ねた藍色の髪と紅い瞳を持つ27歳。ベージュのコートがトレードマーク。冷静沈着で、物事に柔軟に対応する人情もある。喫煙者だが子供には害だと思っており、梨音に対して配慮する場面も。フェルベスを拠点に活動している夕鷹・梨音をずっと追っており、彼らとは腐れ縁。フェルベス皇国軍将軍・昴とは、軍人時代の同期で親友。
10代後半の頃は、軍学校に通っていた。20歳の頃にフェルベス軍に入隊。そこで昴と面識を持つ。その後、バルジアーに推薦され移籍する。
2章Concertoで登場。ザイルハイド所属なのに組織の情報を知らない夕鷹に、最近の動向と夕鷹がお尋ね者になっていることを教えた。その後、騒ぎを起こしたザイルハイドの舞歌、詩嵐の二人を捕縛した。
7章Sanctusでは、バルジアーの肩書きでフェルベス皇国軍の一部として参加。途中、昴から全軍指揮権を委託されるが、無事に務め上げた。

秦堂海凪(シンドウ ミナギ)

鈴桜の副官。はね気味の亜麻色のショートカットと青い瞳の少女。16歳。テンガロンハットをかぶり、ショートパンツにカジュアルブーツ姿をしており、典型的なガンマンの格好をしている。ナイフと短銃の使い手。飄々とした性格だが、頭の回転が早く、冷静で状況判断も早い。
バルディア帝国出身で、多くの軍人を輩出している名の知れた家系の出。六香とは幼馴染で親友。14歳の頃に真琴兄弟とともにフェルベスにスパイとして派遣された。その後、フェルベス将軍・昴の襲来によって四人は散り散りになる。逃亡の途中、海凪は鈴桜と出会い、その場で彼の副官に抜擢される。(番外編Tarantella)
本編では、2章Concertoで登場。猟犬の逆上舞歌を捕縛した。7章Sanctusでは、フェルベス皇国軍として鈴桜とともに参加することになるが、開戦数日前に昴と望まぬ再会をする。彼への誤解は解けるが、海凪は許していない。

フェルベス皇国

イレーシオン大陸の中央から南に位置する国。西の隣国バルディア帝国を警戒し、イースルシア王国と同盟を結んでいる。 前身はフィルテリア小王国。フィルテリア動乱の後、最高指揮官サレス・オーディンが担ぎ上げられる形で初代国王となり、フェルベス皇国と改名した。 勝者という歴史があるため誇りが高く、汚点を嫌う。よって、聖魔闘争の敗者・聖王バルストを蔑視しており、金眼者(バルシーラ)を嫌っている。 近年、理術の研究が盛んで、魔術のような精度にまで発展させている。 ・シーヴァ - 首都。 ・デュリス - ラシャ湾に面する港町。観光地。

フェルベス皇国軍

昴 祐羽(スバル ユウ)

フェルベス皇国軍将軍。<隻眼の獅子>の異名を持つ27歳。褪せた金髪で、右目は長い前髪に隠れている。左目は紫色。赤い縁取りのされたフェルベスの黒い軍服をまとい、片刃の黒剣がトレードマーク。冷静で厳格、表情はあまり変化しない。
17歳の軍学校生の頃、ザイルハイド総帥だった榊 遼と戦った際に右目を負傷し、以来、右目の視力を喪失している。
その3年後、20歳で軍に入隊する。鈴桜とはその頃の同期生で、唯一の友人。
後に頭角をあらわし、5年後の25歳で将軍となり、軍二番手の権力者となる。
その1年後、バルディアのスパイとしてフェルベスにひそんでいた真琴春霞たちを襲撃するが取り逃がしている。(5章oratorio)
本編では、7章Sanctusでバルディア帝国軍の儀煉と戦闘するが、飛空艇の攻撃が割り込み中断される。その後、最前線を越えてバルディアへ渡ろうとする夕鷹たちを、身分がはっきりしないため制した。

イースルシア王国

フェルベス皇国の北の隣国。アルマーダ王朝によるフリア帝国の後、魔王と契約した初代女王ルシア・スターチスが崇め奉られる形で即位し、建国された。神、聖王、魔王の信仰が入り混じった宗教的な国であり、アルマーダ王朝の思想を強く受け継いでいる。フェルベスとは同盟関係にある。なお、桜はこの国でのみ自生する。 フィルテリア・ダグス時代は、ダグスの従属国となっていたが、自治は許されており、独立の機会を窺っていた。 ・パセラ - 首都。王が住まう地。 ・ラシャ湾 - グラン共和国との間にある。 ・プライル - ラシャ湾に面する港町。 ・ソリシャ村 - パセラから半日の距離にある村。 ・フィスセリア島 - 北東にある小島。ルーディンが捕らえられた地。 ・カルバニス神殿 - 中央部に位置する神殿。かつて聖樹ラトナが生えていた地につくられた。すでに宝物は荒らし尽くされ、誰も近寄らないため、ルーディンが身をひそませていた。

イースルシア王国軍

氷室 篝(ヒムロ カガリ)

イースルシア王国・第一王国軍団長、兼、軍司令官。ターコイズブルーの長髪をひとつに結んでおり、コバルトグリーンの目をしている。イースルシア王国軍の赤い甲冑の上に、隊長であることを示す青紫色のマントを羽織っている。性格は真面目で誠実。奏の兄。
空振りに終わった1度目のセディリーヴァに同行し、2度目のセディリーヴァにも同行する予定だったが、旅立つ前夜にイースルシア城に采と天乃による奇襲があり、やむなく椅遊をフルーラに任せ城の裏から逃がした。
7章Sanctusでは、イースルシア王国軍・現場指揮官として前線に出撃した。善戦していたが、玲哉の参戦で形勢が逆転し、椅遊との交換条件として捕らえられる。
戦争終結後は、壊滅したイースルシア軍の立て直しと椅遊の護衛に尽力した。

晴泉里 波留(セイセンリ ハル)

イースルシア王国軍総司令官。国王の参謀も兼ねている。セルディーヌは彼女の管轄。
年は20歳後半。腰よりも長い金髪のポニーテールで、白地の服の上にくすんだ赤のマントを羽織っている。普段は気だるげな雰囲気だが、冷静で聡明。国のために、時には冷酷ともとれる判断もする才女。
7章Sanctusで、イースルシアは、椅遊がバルディアに殺された報復として参加したが、のちに生きている本人が城を訪れたことでデマだと発覚する。しかしここで、なんとか持ちこたえている状態の前線の兵たちにしらせたら、この戦争は無意味となり、士気が落ち、一気に押し負けると考えた波留は、あえてしらせずに戦わせた。

氷室 奏(ヒムロ カナデ)

イースルシア王国暗部所属であり、バルジアー諜報員。篝の弟。前髪をちょんまげに結った瑠璃色の髪と黒瞳で、可愛らしい顔立ちをしている20歳の青年。飄々とした楽天家だが、隠密行動においてはイースルシア随一の実力者。2年前、ゲイルアークが築かれた後のバルディアに唯一潜入し、以来バルディアに住みついて動向を見張っている。彼が鈴桜との連絡で使う無線電話は、バルディアで購入したものである。服飾にこだわりがあり、お気に入りの服が汚れて落ち込んだりする場面も。
7章Sanctusで、プロテルシアに潜入し、夕鷹一行の文字通り目の前に現れる。彼らに戦争が勃発したこと、その理由、椅遊に迫る危険などを伝えた。その後、バルディア中枢部、参謀・雨見紫昏のもとへ単身乗り込み、その時フェルベス軍指揮官を任されていた鈴桜との電話会談を実現させた。

大洲(オオス)

セルディーヌの操縦者。3章Madrigal 6話で登場。

秋葉(アキハ)

セルディーヌのアルテス調整役。真面目な性格。3章Madrigal 6話で登場。

王族

朔司頼威(サクシ ライ)

イースルシア国王。椅遊の父。40代で、紅の短髪と橙色の瞳を持ち、上質な黒い服を着た上に青いマントをまとっている。
7章Sanctusで、椅遊を殺害したというバルディアに激昂し、波留に戦争の指示を出す。その後、記憶を失った椅遊と初めて対面する。

朔司 蓮(サクシ レン)

イースルシア国王皇后。頼威の正妻であり椅遊の母。40代で、後頭部でまとめられたアッシュブロンドの長髪と空色の瞳を持ち、淡緑のドレスに身を包んでいる。行方をくらました椅遊をずっと心配していた。

ルシア=スターチス

魔王ルトオスと初めて関わりを持った少女。後にイースルシア王国が勃興した際に、初代女王として君臨することになる。椅遊の先祖。
滅びに怯えていた魔王ルトオスに声をかけ、友人となる。後に幼馴染の男性と結婚し子供を授かり、人生を謳歌するが、ルシアは幸せになればなるほどルトオスのことを忘れていった。そのことに怒り悲しんだルトオスによって、彼女の血は呪われ、感情が高ぶると自分を召喚してしまう体質へと変えられてしまう。その血は子孫にも受け継がれ、現在の椅遊にまで続いている。
ルシアの血統は恐れ敬われ、神子族と呼ばれるようになった。その後、フリア帝国が滅び、新たな国を勃興する際に、ルシアは周囲にまつりあげられる形で王として即位。国は、イースルシア(古代アルマーダ語で「ルシアの国」)と名付けられた。その後の人生は不明。
ルトオス(燕朝)が椅遊を見てルシアを思い出していることから、椅遊と同じく桜色の髪と空色の瞳を持っていたと推測される。

その他

彰(ショウ)

イースルシアの首都パセラにあるパテルレストランの店長でありシェフ。
世界各国の食事を味わってほしいという想いから、自分の店をオープンした。ピザとオムライスが一緒にメニューに載っていたため、妙な二人組を招くことになる。
登場回:aubade

バルディア帝国

イレーシオン大陸西部に広大な領土を持つ大国。国土の大半は、年中、厚い雲が空を覆っており、雷雲も発生しやすい。太陽光もほとんど差し込まないため、草木が育つことができず、大部分は岩場や荒地が広がっている。天候を司る神獣・〈燈鳥〉ラースンがバルディア上空に住んでいるためとされている。そのような気候であるため、バルディア人は肌が白く、強い光がやや苦手である。雷がよく発生するため、雷のエネルギーを活かした機械工学が発達しており、兵器や都市の開発が進んでいる。国境に18章の護り(ゲイル=アーク)という壁と関所を築いており、他国の干渉を一切拒んでいる。 ビアルド - 首都。機械要塞のような街。 プロテルシア - 破棄されていた施設。玲哉が雷を与えて再稼働させた。 ルセイン要塞 - フェルベスとの国境にある砦。ゲイル=アークの一部。 セーシュ砦 - イースルシアとの国境にある砦。ゲイル=アークの一部。 ハバルゼン地方 - フェルベス、イースルシア、バルディアの国境が集中する荒地地帯。三国戦争の最前線となる場所。

バルディア帝国軍

芽吹 未亜(メブキ ミア)

バルディア帝国軍中尉、情報部所属。紅桃色のツインテールと焦茶色の瞳。17歳だが、低めの身長のため年齢相応に見られることは少ない。タイトスカートの黒い軍服を着ている。優しい少女だが、慌てんぼうで調子に乗りやすく、おっちょこちょい。
幼い頃に両親を亡くしており、親代わりの朱羽に育てられた。朱羽は軍学校での教官でもあったため、今でも彼女のことを「教官」と呼んでいる。
4章Canonで登場し、紫昏から玲哉の副官に任じられる。表向きは、バルディア軍部に明るくない玲哉のサポートだったが、その実、外出を禁じられていた玲哉の監視役だった。しかし、彼の不自由さに同情していた未亜は、玲哉の一芝居にまんまとはめられ、逃亡を許してしまう(結局、玲哉が自分で戻ってくるまで上手くごまかした)。玲哉の瞳に魅せられた一人であり、それが次第に好意にすり替わっている。
7章Sanctusで、玲哉の義手をつける処置に付き添うが、その後、彼によって昏倒させられる。そのため未亜は、のちの三国戦争の前線には送られず(本来なら通信兵として戦場に出るはずだった)、通信兵らが送ってくる情報や本部からの通信を受け取る拠点通信担当となった。
三国戦争から1年後の終章Finaleでは、バルディア帝国軍基地地下で秘密裏に飼われていた玲哉と、新しい世話役として再会する(ちなみに三国戦争後に髪をセミロングにカットした)。
その後を描いた番外編Largoでは、凶悪犯でもある玲哉と距離をとろうとするが、以前のような強い目をしなくなった彼に戸惑い、戻ってほしいと願うようになる。やがて恋を自覚し、玲哉を逃亡させる。

雨見紫昏(アマミ シグレ)

バルディア帝国軍参謀。肩まで伸びたオリーブ色の髪と、淡い蒼の瞳を持つ。メガネをかけた中性的な細身の男性。20代後半。常に、裾の長い黒い軍服に身を包んでいる。国のことを第一に考えており、冷酷ともいえる判断も下すこともある。基本的にポーカーフェイス。
霧磨の紹介で、バルディア帝国軍に玲哉を迎え入れた張本人。玲哉の危険性には気付いており、そんな不確定因子を入隊させることに憂慮しながらも、それすらも利用しようとしていた。
前身ダグスが譲渡したウィオール地方を奪還する目的でフェルベスに侵攻、ダグス=フィルテリア戦争の引き金を引く。軍司令室に現れた氷室奏の持ち込んだ無線電話で、フェルベス・イースルシア混合軍の指揮官になっていた鈴桜と対談、戦争は停戦となった。
番外編Largoでは、人間らしさを持ち始めた玲哉を見逃し、彼の事情を知る者を解雇し、自身も辞職した。

儀煉 然(ギレン ゼン)

バルディア帝国軍中将。褪せた青髪の40代前半の厳つい男。バルディア帝国軍の赤い軍服を着ている。頭に血が上りやすく、よく大声で怒鳴る。頭の固い老軍人といった性格で、他国出身の玲哉に対しては露骨な嫌悪感を見せる。紫昏とはプライベートでの知人で旧知の仲。
剣の腕は衰えておらず、7章Sanctusでは、フェルベス皇国軍の若将軍・昴と戦闘し渡り合った。戦闘狂な一面もあり、番外編octetでゲイルアークを越えようと侵入した玲哉一行(玲哉自身には会っていないが)の前に立ちはだかるが、彼らが攻撃の意思がないことを表すと、興が冷めたのか剣を納め見逃した。厳格だが情は持ち合わせており、番外編largoでは、人間らしくなった玲哉と未亜の逃亡の手助けをしている。

真琴春霞(マコト ハルカ)

バルディア帝国軍情報部所属。ざんばらな緑青の短髪と濃い青の瞳を持つ22歳の青年。運動神経は抜群だが、細かい戦略や算段を立てるのは苦手。なお判断力は的確かつ早く、野性的な勘が鋭い。戦闘狂な気がある。冬芽とは双子で、彼と六香の兄。
朝が弱く寝起きが悪い。大好物はカレーでそれ以外の食べ物はほぼ嫌いな偏食家。パン、青菜、卵などは特に嫌っている。矛槍(ハルバード)を扱う。
軍情報部所属だった両親のもとに生まれ、冬芽とともに将来を期待されて育った。
14歳の頃に両親が他界。本来、軍学校は15歳からでないと入隊できないが、特例で14歳で入隊する。給料が発生するため、それで生計を立てていた。
20歳で、軍学校を武術の部・首席で卒業。その後、情報部に配属され、密偵として冬芽、海凪とともにフェルベス皇国に潜入。ザイルハイドに所属し、生活を始める。
22歳の頃、フェルベス皇国軍に所在と身分が割れ、フェルベス将軍・昴の襲撃を受けるが、冬芽とともにイースルシアに逃げ延びた。バルジアーの幹部に拾われ、腕を買われてその部下となる。半年後には幹部となった。
7章Sanctusで23歳で登場。イースルシア王国軍の管轄で戦場に赴く。王国軍壊滅後もかろうじて残っていたイースルシアのバルジアー勢力を連れ、フェルベス軍に力を貸した。そこで六香、海凪と再会した。
終章Finaleでは、冬芽と六香とともに、ザイルハイドになった楸と采を追跡している。

真琴冬芽(マコト トウカ)

バルディア帝国軍情報部所属。サラサラとしたセルリアンブルーの髪に紫色の瞳を持つ22歳の青年。
優しく温和で、安定した性格。頭の回転が速く、海凪とよく春霞をからかっている。
近接戦では鈍器にもなる重量級(通常より5倍近く重い)のボウガンを扱う。春霞とは双子で弟。六香の兄。
軍情報部所属の両親のもとに生まれ、春霞とともに育った。
14歳の頃に両親が他界。春霞が特例で軍学校に入隊して収入を得て、冬芽は当時7歳だった六香の面倒を見ることになった。
春霞に遅れること3年、17歳で軍学校に入隊。10歳になった六香を連れて通学していたため、ちょっとした有名人となっていた。
20歳で、軍学校を学術の部・首席で卒業。その後、情報部に配属され、密偵として春霞、海凪とともにフェルベス皇国に潜入。ザイルハイドに所属し、生活を始める。
22歳の頃、フェルベス皇国軍に所在と身分が割れ、フェルベス将軍・昴の襲撃を受けるが、春霞とともにイースルシアに逃げ延びた。バルジアーの幹部に拾われ、腕を買われてその部下となる。半年後には春霞は幹部となり、冬芽はその補佐官となった。
7章Sanctusで23歳で登場。イースルシア王国軍の管轄で戦場に赴く。王国軍壊滅後もかろうじて残っていたイースルシアのバルジアー勢力を連れ、フェルベス軍に力を貸した。
終章Finaleでは、春霞と六香とともに、ザイルハイドになった楸と采を追跡している。

陽城朱羽(ヒシロ アゲハ)

バルディア帝国軍少佐。肩よりやや長い切り揃えた黒髪と藍色の瞳を持つ、20代半ばの女性。未亜の教官を務めたことがあり、未亜は今でも彼女を「教官」と呼ぶ。
Oratorio 1話と番外編Largoに登場。Largoでは、悪魔の代名詞ともいえる玲哉に魅せられている未亜の目を覚まそうとするが、逆にそのせいで自身の玲哉への恋心を自覚した未亜に拒絶される。

霧磨枝郷(キリマ シゴウ)

バルディア帝国軍軍曹。中年太りの体型。
隊長である少尉の代わりにルセイン要塞に詰めていたが、そこに現れた玲哉が要塞を制圧。玲哉に脅され、紫昏に取り入るよう進言した人物。

秦堂華世(シンドウ カヨ)

バルディア帝国軍、元中佐。玲哉を入隊させる都合上、空きを作るために紫昏が解任した。海凪の母。

グラン共和国

イレーシオン大陸の極東の国。物流や交易による商売が盛んで、数々の露天商が首都に軒を連ねており、財を成して貴族になる者もいる。天法院(セオディス)と呼ばれる最高機関が政治を司っている。 人口の3割がクランネといわれているが、人間に紛れているため区別はつかない。グラン自体がクランネの興した国だが、それも公にされていない。 フィルテリア・ダグス時代はダグス領となっていたが、クランネの力を危惧したダグスによって、いわゆるガス抜きとして自治が認められていた。 ・ジェノス - 首都。天法院(セオディス)がある。 ・レグスフリア山脈 - ジェノスの北にある山脈。ふもとがフレイの住処となっている。

樹生明燈(キリュウ アキヒ)

グランのジェノス郊外で一人暮らしをしている少女。山吹色の髪と金の瞳を持つ12歳。金眼者(バルシーラ)だが、グランではバルシーラに対する差別はほぼなく平和に暮らしている。明るく元気で、イースルシアの宮廷料理人にも匹敵する料理上手。イースルシアで宮廷料理人になりたい夢があるが、自信がなく挑戦したことはない。
両親がおらず、家で内職をしているが生活費は賄えていない。そのためとても質素な生活をしており、見兼ねた夕鷹が押し付ける形でお金を渡しているが、彼女はその金の出所を知っているのであまり喜べないようだ。
9歳の頃に、男子にいじめられていたところを夕鷹と梨音に助けられ面識を持つ。同じバルシーラということもあり、夕鷹は何かと彼女を気にかけており、定期的に遊びに来ている。その頃から明燈は梨音に好意を抱いており、彼の前になると挙動不審になる。
3章Madrigalで登場。宿のあてがなく、夕鷹が駄目元で押しかけたが快く受け入れてくれた。
7章Sanctusで再登場。ついに宮廷料理人の試験を受けようとイースルシアに向かっている途中でフルーラに会い、事情を聞いて夕鷹たちの力になりたいと戦場に現れ、そこで〈地〉のクランネであることが発覚する(本人は言ったつもりだったらしい)。

セルシラグ聖国

イレーシオン大陸北東のエルフ族の国。アルマーダ王朝が崩壊した後に建国されたが、当時から他国と関係を持たず、閉鎖的である。国土の大部分が深い森と雪に閉ざされている寒冷国でもあるため、不必要な人の往来はほぼない。国境にケルマネムと呼ばれる巨大結界が張られている。森深くに住まうとされる〈翠龍〉ウィジアンを、国家の守護神として奉っている。 フィルテリア・ダグス時代は、すべてに不干渉を一貫した。ダグスも、セルシラグの守り神ウィジアンを警戒して看過したと思われる。 アラムキンゼル - 首都。木や藁で造られた家が寄せ集まった集落。

ウィジアン

セルシラグ聖国に住まう神獣。〈翠龍〉の肩書きを持つ。長い首と丸い胴体の巨大な翠色の龍で、黄珠を抱えている。目は紅く、背に体長の半分くらいの大きさの翼がある。飛べるのかは不明。単語の羅列のような独特な話し方をし、声も性別・年齢の判別がしづらい響きで直接相手の頭に語りかける。
セルシラグの地下に住んでおり、本体が地表に現れることはない。必要があれば地表に幻を投影する。動かない代わりに、大陸全土に視覚が張り巡らされていたり、物を転移させられるなどの強い力を持つ。
黄珠には大陸全土の情報が詰め込まれており、起動するとウィジアンの頭に情報が流れ込む。黄珠は起動中は発光する。その情報とウィジアンの視覚を合わせて場所を確定、そこまでの経路を構成する。そこに転移したいものを乗せることで転送する。なお、経路は目には見えないため、傍目からは急に消えたように映る。しかし幻は実体より力が弱いため、幻の姿で力を使うと何処に飛ぶかわからないリスクがある。
フィルテリア・ダグス時代に、セルシラグに訪れたフルーラと会っている。
名前の由来は、ビリジアンをもじったもの。

フィルテリア小王国

現在のフェルベスの半分の領土を持っていた小さな王国。フェルベス皇国の前身。 領土の地下にイーゲルセーマ族が生活しているという歴史があるが、フェルベスは彼らを恐れ、またイーゲルセーマ族も他種族を許容しないため、互いに同じ土地に暮らしているが赤の他人という認識である。 フィルテリア動乱ではサレスの力によってダグスに勝利し、彼を国王に据え、フェルベス皇国と名を改めた。 マルド地域 - ダグスの領土が、フィルテリア側に大きく入り込んでいる地域。 マルド砦 - マルド地域に建設された砦。その地域でのダグスの動向を監視している。

サレス・オーディン

フィルテリア王国軍最高指揮官。22歳。もともと地下で一族と同じように暮らしていたイーゲルセーマ族で、強力な魔術師ばかりがいる一族でも随一の魔術師。大きな動作もなく力を振るう様子から、他国では「神罰の運び屋」と呼ばれている。全体的に色素が薄く、水色がかった白髪と浅葱の瞳を持つ。フィルテリアの紋章が金の刺繍で施された赤いマントをまとっている。
穏やかな普通の青年だが、探究心が強い。魔術だけでなく、さまざまな分野においても深い見識を持つが、魔術以外は知識だけで実践までは至っていない。堅苦しいのが苦手なので、軍議には出席せず、後でシェイがまとめた議事録を読み、意見があれば文面で返すスタイルをとっている。それだけシェイの策に信頼があるともいえる(シェイは出席してほしいと思っている)。ラシルカとは半年の付き合いだが親友。
フィルテリア動乱が起こる1年前、21歳の頃、イーゲルセーマ族に対し、フィルテリア小王国からダグス大帝国との戦争に力を貸してほしいという申し出があった。地下でほとんどのことをやり尽くし、人生に飽きすら覚えていたところだったサレスは、一族の皆が止める中、「外が知りたい」という理由だけで承諾、地上に出てフィルテリア軍に迎えられる。ちなみにその日のうちに、無所属のラシルカを軍に引き込んでいる。
その半年後、リリアと出会う。行く場所がない彼女をフィルテリア軍に招き入れた。次第に惹かれ合い、お互いに大切な存在となっていく。
フィルテリア動乱では、自ら先頭に立ち、軍を率いた。グレシルドを撃破するなど善戦していたが、やがて『拒絶の守護』の反動で倒れたところを弓矢に狙われ、リリアが身を呈してかばい命を落とす。そのショックで潜在魔力が解放されるが、死には至らず、代わりに魔界の女王〈ヘル〉が召喚され、〈ヘル〉によって強制的に戦争は終結した。
フィルテリア動乱後は、リリアを失ったから、あるいは潜在魔力を解放したからか、以前のような快活さは影を潜め、笑うことができず、ぼんやりとするようになった。
やがて、消えかけていた聖王バルストに出会う。リリアの死に際の「笑っていてほしい」という願いと相反するため死ぬこともできない自分と違い、消えようとするバルストを妬み、聖王を復活させることにする。力を徐々に回復させるための人型の器・貌(ソーン)を作り、そこにバルストを招いた。バルストが完全に回復するには途方もない時間がかかり、それを見届けるため、魂のみ生き続ける魔術・第1章『永遠転生輪廻の環』で己の肉体を捨て、延々と転生することとなった。
しかし、この術もガリカエス崩壊後にサレスが再構築したものを使用しており、術の特質上、試行もできなかったため不完全な形で発動していた。確実に発動していれば完全に意識を乗っ取るが、たまに本来の体の魂に意識の主導権を奪われそうになり、発作のような症状を引き起こす。

リリア・サンクレーマス

元セオダのクランネ。属性は〈水〉。媒体はブレスレット。淡い桃色の長髪と紫の瞳を持つ20歳の女性。心優しく争いは好まないが、芯は強く、意外な行動力を見せることもある。父を殺したガリアテイルを恐ろしく思っている。
母親は体が弱く、リリアを生みすぐ他界。父親が男手1つで育ててくれた。父はタイプリレイスも行える高位の〈地〉のクランネだったが、リリアが18歳の頃、ガリアテイルと戦い死亡。リリアは天涯孤独の身となった。
セオダだった父の空席を世襲で継ぐことになったが、心優しいリリアには罪人を裁くという行為自体が疑問であり、他のセオダに流されるまま人を裁いていた。
その性質も相まって、2年後、セオディスから追放される。当時繰り広げられていた聖魔闘争は、世間的には聖王が魔界に干渉したことがきっかけで始まったと言われており、世論はもちろん、セオディスも魔王ルトオスに味方していた。その中で、リリアは「皆が聖王を嫌ったら可哀想」という理由で聖王バルストを擁護していたため、セオディスには不適合と判断されたからだった。
何のしがらみもなくなったため、旅がてらフィルテリアに渡る。そこでガリアテイルに襲われていたところをサレスに助けられ、安全な場所へとフィルテリア軍基地に案内される。何も役目も価値もない今の自分にできることはないかと、サレス達の反対を押し切きって戦場に赴く彼らについていき、戦いが終わった後に戦場で一人涙を流し、クランネの力で泡を舞わせた。毎回行われるうち、やがて「鎮魂の涙」と呼ばれるようになり、戦いに慣れてしまっていた人々に戦争は悲しいものだと改めて思わせ、軍内に早く終わらせようという認識が広まった(サレスは危険だからついてきてほしくはなかったが、リリアが譲らなかった)。
フィルテリア動乱にも、いつものようにサレスの傍にいたが、『拒絶の守護』の反動で動けないサレスを狙った矢を身を呈して受け、彼の目の前で亡くなる。結果的に、サレスがイーゲルセーマ族としての潜在魔力を解放するきっかけを与えた。

ラシルカ・アルス

フィルテリア王国軍将軍の魔族。漆黒の服に身を包んだ、青い髪の金眼者(バルシーラ)。23歳。いかつい穂先の槍の使い手で、大勢の相手を薙ぎ倒すように戦う。自分の強さ以外には無関心で無愛想だが、善悪の判断はきっぱりしており意外と誠実(サレス談)。珍しい名前のせいかニックネームが多く、サレスにはラス、リリアにはルカ、ナタにはラッシーと呼ばれている。サレスとは親友。
当時の魔族の族長の一人息子。父は最大の壁であり目標だった。一族にいた頃から有名な人間嫌いで、兵器を振り回して優位に立つ人間に嫌悪感を抱いていた。
13歳の頃、近くに住んでいたナタと面識を持つ。以降、事あるごとに共にいる。
18歳の頃、父が病で他界。族長になる気も興味もなかったため、単身、新たな目標を探しに一族を去った。その際にナタもついてきた。
5年かけて大陸を旅し、23歳の頃、フィルテリアの地を踏む。フィルテリアはダグスとの戦争に備え、軍を編成している最中だった。イーゲルセーマ族の若い青年が軍の最高指揮官に任命されたという噂を聞いて興味を持ち、軍基地の前で待ち伏せた。やって来たサレスと一戦交えたが、引き分けとなる(ラシルカは納得していないが)。サレスに「友達になってほしい」と言われ、彼に興味があったラシルカは承諾、フィルテリア軍所属となる。
半年後、フィルテリア動乱が勃発。ダグス軍の新しい将軍であり旧友であるエナと交戦するが、最後にエナはわざと敗北する。旧友を手にかけ、放心していたところを奇襲されるが、命を賭してかばったナタに助けられる。一気に親しかった者たちを失い、戦争に対して激しい怒りを覚え、すべてを斬り伏せていった。
フィルテリア動乱終結後は、抜け殻のようになったサレスの補佐をしていた。その後サレスは、バルストを復活させるために魂だけ生き続ける禁術を使おうとする。そこで、ラシルカは最初の人柱に自分をと名乗り出た。ラシルカにとって、サレスを越えるのが目標だったが、サレスがいなくなるなら生きる理由もないからだった。サレスの魂が憑依した「ラシルカ」が死ぬまで、彼らの魂はひとつの体に同居していたが、詳細を知る者はいない。

ナタ=エル

フィルテリアに所属する妖精。身長よりも長い、紫がかった銀髪をひとつの三つ編みにしている。目は青。人間で言うところのワンピースのような赤い服を着ている。背中から虫に似た羽が生えている。
体の小ささとは裏腹に、物凄い声量を出せる。サレスのことは「まっしー」(真っ白だから)、リリアのことは「リリィ」、ラシルカのことは「ラッシー」、シェイは「メガネ君」とあだ名で呼ぶ。
外への憧れが高じて一族を飛び出し、外の世界にやって来た。そこで少年だったラシルカと面識を持つ。数年後には、二人で放浪の旅をした過去がある。ラシルカとは10年来の付き合い。
妖精で適性がある者に代々受け継がれるマールガーターであり、実はフィルテリア軍の主戦力。ダグス相手に奮戦しているのは彼女の力あってこそである。
フィルテリア動乱では、序盤は聖界の魂兵で力を振るっていたが、限界を迎えてしばし倒れていた。最後は、ラシルカをかばって即死級の魔法を受けて命を落とした。

シェイ・グレイス

サレスの副官。フィルテリア小王国の参謀を務めている。肩口でまとめられた長い金髪と、エメラルドのように綺麗な緑色の瞳を持つエルフ族の男性。赤縁のメガネをかけている。見た目は20代後半だが、実年齢は72歳。穏やかで聡明だが、怒らせると怖い。
30年ほど前、セルシラグ皇国のあり方に疑問を抱き出国。その旅先で神獣ルーディンと出会い、以降親友として共にいる。
フィルテリア動乱では、基地の防衛にあたり、背後からやってきたグレシルドを連れたダグス軍による攻撃で基地ごと消失した。来月は、彼の誕生月だった。

ルーディン

金色の毛並を持つ、美しい虎。〈金虎〉の肩書きを持つ。瞳は澄翠色。性格は真面目で厳格、口調も堅苦しい言葉を使う。五体いる神獣の中で、唯一、戦闘能力を持つ。神の夢(うんめい)を視る力を持っており、常に少し先の未来を視ている。
フィルテリア時代にシェイと出会い、友となった。彼との別れを予見しつつ、ともに旅をする。やがてフィルテリア動乱でシェイを失い、国を去った。未来を視るゆえに何もせずシェイとの別れを迎えたことに悔い、どうするべきであったか考えながら、荒らし尽くされ人気がなくなったカルバニス神殿でひっそりと過ごしていた。数十年後、フルーラの導きで〈ルース〉がやってきて、魔王召喚の力を先送りにすることに成功する。後にこの儀式はセディリーヴァと呼ばれるようになり、稀に現れる〈ルース〉はこれを行うのが慣習となる。
しかし数百年後である本編より1年前(番外編octet)、椅遊が訪れる前にカルバニス神殿から突如姿を消す。そのため椅遊はセディリーヴァを慣習通りに行えなかった。後にそれは、『彼』が少しでも望ましい未来に近付けるように行動したからだと判明する。結果的に物語は、〈ルース〉は魔王から解放され、聖王魔王ともに良き終焉を迎えた。

ダグス大帝国

数百年前に存在した西の大国。本編時間軸のイースルシア、バルディア、グランの領土を持っていた。バルディアの前身。上質な鉄鉱石と開発技術、魔術研究などを高い水準で保持しており、軍は魔戦艦(グレシルド)という大規模殺戮兵器を生み出した。それによって現在のイースルシアからグランに至るまでの国を陥落させ、大陸の覇者となった。フィルテリアが後回しにされたのは、先に、魔王召喚を行うイースルシアと、クランネによる不可思議な力を扱うグランを警戒したためと思われる。 しかしフィルテリア動乱で敗北し、かの国の監視下に置かれた。ウィオール地方を譲渡することで独立したが、強国たらしめてきた存在を失い、完全敗北した形となったダグスは、皇帝が変わると同時に国名を変更したといわれている。 ウィオール地方 - フィルテリアとの国境近くの地方。ここの鉱山でしか採れない硬度の高い鉱石がある。フィルテリア動乱で敗北した際に、フィルテリアに譲渡した土地。

エナ=リェイプス

ダグス帝国軍の一兵士の青年。燃えるような赤い髪と漆黒の瞳を持ち、魔族の特徴として肌が浅黒い。淡い青のシャツを着たラフな格好をしている。勝気で仲間思いな長剣の使い手。ラシルカとは旧友。
魔族間の殺し合いが勃発し、家族が殺され一人になった。その原因を作ったラシルカを憎むようになり、ラシルカを探す旅に出る。盗賊としてダグスを荒らし回っていたが、その道中でダグス国内の隊長クラスが三人いた城を一人で攻略し、それがきっかけでダグス帝国軍から入隊の話を持ちかけられる。個人の力で探すには限界を感じていたエナは、視野を広げるためにその話を受けた。入隊後、敵国フィルテリアの将軍がラシルカであることを知るが、彼の人間嫌いは知っていたため、再会するまで確信が持てずにいた。
その後、フィルテリア動乱でラシルカと再会し、刃を交える。しかし、かつての友を憎み切ることも、死んでいった者たちの無念を見捨てることもできず、追いつめられていたエナは、ラシルカに止めてもらう(殺してもらう)という選択をした。最期は、ラシルカの攻撃をわざと受けて死んだ。

魔界の存在(ガリアテイル)

魔界に住まう魔物の総称。〈ダークルシフ〉などは知能がない低位の存在だが、「魔界の○○」というガリアテイルは高位であり、魔王ルトオスに生み出された存在。歴代ルースから奪った記憶が元になっており、体は純粋な魔力で構成されている。 聖魔闘争によって魔界の入り口が封じられる前までは、空間を捻じ曲げて穴を空け、空界にやってきていたが、サレス曰くその際に独特な不快な気配がするらしい。

〈ガルム〉

魔界の番犬の二つ名を持つガリアテイル。契約者は梨音。合言葉は「『”扉”が、以後開くことがないこと』」。
漆黒の獅子で、毛もたてがみも牙も黒い。夕鷹も乗れるくらい大きく、口から魔力による衝撃波を放つ。厳格な口調の男性の声で話し、梨音を「流浪の支配者」と呼ぶ。毎回、名前と顔が変わる彼に固有の呼び名をつけた結果である。梨音がサレスであった頃から契約しており、初期は別の合言葉だったが、それは「サレス」としての言葉だったため、「サレス」でなくなった後から前述の合言葉に変更している。

〈フィアベルク〉

魔界の裁人の二つ名を持つガリアテイル。契約者は天乃。合言葉は、「『何処かへ消えたものを取り戻すため』」。
漆黒の体の巨大な飛行竜。長い尾と蝙蝠のような双翼を持ち、猫背の姿勢で二足で立つ。両腕には鋭い爪があり、頭には角が生えている。爬虫類のような瞳は銀色。耳障りな金切り声で話す。短慮で頭は良くなく好戦的。天乃の移動手段を兼ねている。天乃のことは気に入っており、彼女の言動を楽しみにして従っている。結果的に、自我をあまり出さない天乃の心の支えとなっていた。
ガリアテイルの中では随一の素早さを持つ。4章canonでは〈ガルム〉と対峙し、圧倒的な速さを見せつけた。物語終盤で、生みの親である魔王ルトオスが消え、配下であるガリアテイルも皆消滅したと考えられており、〈フィアベルク〉も魔界の門である銀の〈扉〉が消えたのと同様に銀の光となって消え、その後は不明。

〈フェンリル〉、〈ハティ〉、〈スコール〉

魔界の氷神の二つ名を持つ、三匹で一体のガリアテイル。〈ハティ〉と〈スコール〉は、人間の子供くらいの体長の、大きな爪を持つ二足歩行の狼。紫色の狼が〈ハティ〉、黒色の狼が〈スコール〉である。リーダーの〈フェンリル〉は彼らよりも巨大な蒼色の狼であり、人間の大人の3倍くらいの体高を持つ。二体とは違い四足歩行で、瞳は開いているが普段は意識が寝ているため、代わりに〈ハティ〉と〈スコール〉が行動する。しかし、ある拍子に覚醒し、再び眠るまで氷の息吹を吐き続ける。作中で覚醒しなかったため、詳細は不明。

〈ダークルシフ〉

低位のガリアテイル。魔術の第6章『悪魔の隻影』で召喚できる。血を浴びることを好む悪魔。別名で殺魔。『悪魔の隻影』を使っている間は、術の型にはめられているので問題はない。

思想の存在

人々の恐れや願いから生まれた存在。神、聖王バルスト、魔王ルトオスが該当する。 三者とも強大な力を持つが、空界の人々の思想をもとにしているため、彼らが忘れてしまうと力と存在を失う依存関係にある。神は願いから、両王は恐れから生まれており、土台となった思想が異なる。神は、時代や国家をまたいでも普遍的な思想を基盤としているため、消滅するおそれは低いが、両王はアルマーダ王朝時代の思想が基盤のため、時を経るごとに力を失ってきている。神は戦う術を持ち得ないが、聖王と魔王は自身をはじめ、聖子(ラトネル)、魔子(アルテセル)で遠隔で戦うことができる。

聖王バルスト

正しい方へ導く先導者として、魔王ルトオスとともに生まれた思想の存在。ゆえに、神とは違い、聖の一側面しか持たない聖の守護者。強大な聖力そのものでもある。魔王ルトオスとは鏡のように対等であり、お互いを牽制しあう関係。片割れが消えると自身も消えるとされる。特定の姿を持たないが、必要であれば聖力で即席の人型を作ることはできる。普段は聖界に溶け込み、聖界とその中にいる魂たちを守護している。高潔な性質を持つ。
聖魔闘争では、己の聖力すべてを引き換えに、魔王ルトオスを魔界に閉じ込めた。それにより、ガリアテイルも魔王も、自力では空界に下りられなくなり、聖魔闘争は終結した。その後、力を使い果たし、存在が消えかけていたところでサレスに出会い、彼に助けられる。数百年間、ソーンの中で回復し続けていた。
物語終盤で、ソーンが壊れ、解放される。その際に、感情部(夕鷹)は、バルストの意思を伝えるという本来の役割に戻った。しかし、魔界で椅遊とともに魔王ルトオスと相対した際、バルスト本人の意思とは別に、独自に成長した感情部(夕鷹)が、ルトオスから椅遊を守る聖力の盾を勝手に展開していた。聖力の盾を解除できれば、ルトオスと対等に戦えるとバルストは考えたが、ルトオスを倒す理由は、「椅遊を魔王召喚の呪いから解放する」であった。感情部、つまりバルストの心は、椅遊を自由にしてやりたいと望み、バルスト本体はそれを実現しようとしているが、夕鷹(感情)とバルスト(理性)の間でズレが生じ、上記のような矛盾した言動となった。なおこの状態では、感情部はバルストの意思の出力、つまり伝達において最後に通る部位であるため、言葉遣いなどは夕鷹のもので出力される。やがて、心が夕鷹であるのなら、夕鷹はバルストであり、バルストは夕鷹であるということに気付いた椅遊によって、両者はそれぞれ己の役割に納得。ズレが解消され、夕鷹が表面にいる聖王バルストとなった。その後は、弱っていた魔王ルトオスと魔界で戦闘、消滅する。

魔王ルトオス

悪しき方へ導く扇動者として、聖王バルストとともに生まれた思想の存在。魔の一側面しか持たない魔の守護者。強大な魔力そのものでもある。聖王バルストとは鏡のように対等であり、お互いを牽制しあう関係。片割れが消えると自身も消えるとされる。特定の姿を持たないが、必要であれば魔力で即席の人型を作ることはできる。その場合、便宜上、夕鷹と瓜二つの姿をとる。夕鷹と違い、白髪と銀の瞳。服装は黒く、外套と法衣のようなものを着ている。普段は魔界に溶け込み、ガリアテイルとともに過ごしている。〈ヘル〉以外のガリアテイルの生みの親。気まぐれな性質で、奇抜や予想外なことを好む。後述するルシアをはじめ、その後継者たちと関わってきたせいか、バルストよりは、やや人間らしい面を持つ。
数百年前、魔王はやがて消えゆく己の運命を恐れ、後にイースルシア王国初代女王となるルシア=スターチスと契約した。しかし、ルシアが家族とともに幸せの絶頂に至り、一時、魔王の契約者であることを忘れたため、ルトオスは激怒。ルシアを、感情的になると魔王を召喚してしまう体質に変えてしまった。その血は現代の椅遊にも受け継がれている。
聖魔闘争では、バルストの策によって魔界に閉じ込められた。ガリアテイルも魔王も、以降は自力では空界に下りられなくなり、聖魔闘争は終結した。なお、聖魔闘争前に行った、契約者から転じて誓継者(ルース)となったイースルシア王家による召喚では、空界に下りられる。数百年間、魔界に閉じ込められたため、消失することへの恐れはやや薄れた模様。
物語の始まりで、1度召喚されており、その際に椅遊の記憶を対価にしている。すぐ後の2度目の召喚では、『片方開放』した夕鷹によって強制送還されたため、正当な対価を得られなかった。これにより、以降の等価交換のルールが崩壊し、ルトオスの命を蝕む遠因となった。ソリシャ村での3度目の召喚では、抑止力を奪ったが、それではまったく足りなかった。4度目のフィスセリア島での召喚は、神の牽制により不発だったため、対価はない。プロテルシアで夕鷹の中のバルストが解放された際に、椅遊と同調した。以降は椅遊を通じて魔力を空界に放てるようになり、椅遊に手を貸す。今までの誓継者とは異なる椅遊に興味を持つようになる。
物語終盤で、椅遊の最大級の召喚を受け、契約に基づき彼女の命をとろうと魔界に引きずりこむが、バルストも一緒に招き入れてしまう。魔界で、バルストと調和した夕鷹と戦い、お互い消えるが、椅遊の祈りにより消失は引き止められた。夕鷹とともにオーフェラーグ・リデルによって姿が再生され、消失から1年後に椅遊と再会した。

燕朝(ツバサ)

三国戦争の1年後、魔王ルトオスが人間に転生した姿。名前は椅遊が名付けた。オーフェラーグ・リデルが貌(ソーン)を参考に構成した。魔王の頃のように白髪と銀の瞳、長い黒外套と動きやすい軽装姿。武器は持たず、夕鷹と同じく格闘タイプと思われる。好物はオムライス。
人より魔力量は多いが、人の身である以上、魔王の時のような大規模な魔術や、魔力を叩きつけるなどの芸当はできなくなっている。自分にいろんなものを見せてくれた椅遊に対し、依存に近い恋愛感情を抱いているが、感情がまだ乏しい本人に自覚はない。これについて、玻璃は、彼はもっと外の世界を見せてほしいと椅遊に頼んでいる。

神/天華玻璃(テンゲ ハリ)

絶対普遍の神の夢(うんめい)を紡ぐ思想の存在。王たちよりも先に生まれた。神獣の生みの親。空界では「天華玻璃」と名乗っている。
人々を見守り、祈りと願いを受け止める存在。普遍的に信仰されるため、消滅のおそれは少ない。王たちから空界を守護しており、彼らが聖魔界から空界へ通じる道を通って下りてきた場合、その力を半分以下に削ぐことができる。一側面しか持ち合わせていない王たちと違って光と闇を有し、世界共通のイースルシア発祥の神像では、白(=光)と黒(=闇)の双翼を持つ七色の光球で表されている。
真の姿は、透き通るような蒼い髪の少女。寒色系の軽装でロングスカートの、神へ捧げる歌を歌う吟遊詩人といった容姿。落ち着いた物腰と慈母のような雰囲気をまとう。ハープを持ち歩いており、さまざまな曲を奏でる。傍観者であるため、積極的に事態に介入しようとはしないが、すべてを愛し見守るためか、ヒントや助力を与えたりすることもある。
人の五感には映らない存在のため、彼女から意識されない限り、誰にも認識ができない。
また、認識できたとしても、相手の望みを鏡のように映す性質であるため、見る人によって姿を変える。すべての願いが叶った際には真の姿が見ることができるが、ほぼ不可能に近いため、通常は彼女の真の姿を見ることはない。作中でその姿を見たのは椅遊と夕鷹だけである。(夕鷹は同じ思想の存在であるため、そのような幻覚は見ない)。また、椅遊とは二度(番外編を含めると三度)出会っているが、3章Madrigalでは椅遊が夕鷹の過去を知りたいと思っていたため、夕鷹の少年時代のような姿をしており、終章Finaleでは椅遊が夕鷹とルトオスに会いたいと思っていたため、二人の特徴が混ざった青年の姿をしていた。終章Finale終盤~本編後の番外編Aubadeで、やっと椅遊に少女の姿を視認されている。
ちなみに、4章canonで六香とすれ違っているが、六香には見えていない。

原初の存在

空界のはじまりから存在する者たち。流れを御する者(オーフェラーグ・リデル)と〈ヘル〉が該当する。空界に命を生み、殺し、輪廻させている法則ともいえる。 長らく存在を認知されていなかったが、フィルテリア・ダグス時代に空界に干渉してきた魔界の住人(ガリアテイル)達から〈ヘル〉の存在が知らされる。その後、イーゲルセーマ族によってオーフェラーグ・リデルのことも導き出され、彼らの存在と役割が判明した。

流れを御する者(オーフェラーグ・リデル)

後に聖界と呼ばれることになる世界で、魂に「身体」という術式を施し、空界に送り出して命を生む、聖界の命の番人。世界が始まった時から在る原初の存在であり、〈ヘル〉とは対を成す存在。聖王が住まうからいる先住人なので、聖力とは関係がなく、独自の力を持つ。
普段は聖界に溶け込んでおり、実体を持っていないが、空界に顕現することは可能。その際は、対の存在である〈ヘル〉の影を借り、〈ヘル〉の白いシルエットとして現れる。
己の自我を持たず、相手の声や口調を複写して会話する。例えば夕鷹が話しかけたら夕鷹の声・口調で、梨音が話しかけたら梨音の声・口調で返答する。
番外編Requiemに登場。逢花(サレス)に会い、世界の輪廻から外れた彼に覚悟を問うた。

〈ヘル〉

空界の命に一定の数で死を招く、魔界の命の番人。オーフェラーグ・リデルとは対を成す存在。ガリアテイルの元締めも兼ねており、魔界の女王とも呼ばれる。ガリアテイルの括りに入るが、リデルと同じく世界の始まりから存在する者であり、魔王ルトオスが生み出した通常のガリアテイル達とは一線を画す。
気品ある幼い少女の容姿。暗い赤のドレスと肩ぐらいの長さの暗紫色の髪。長い耳だが、横に伸びているエルフ族の耳と違い、上向きに伸びている。空界では実体を持たず、半透明の姿で現れる。
魔界の〈鍵〉を持っており、魔界の〈扉〉を開いて魔界に渦巻く魔力(=魔王)で強制的に死を降らせることもできる。梨音(サレス)が契約者ということになっているが、それは形だけで、〈ヘル〉が彼を気に入ってそういう形をとっているだけである。

所属不明

更凌季逢花(サラシノギ オウカ)

樹海の一軒家に閉じこもっている、15歳の魔族の少女。肩で切り揃えられた灰色の髪と桃色の瞳。人見知りで物静かな性格。
11歳までは、父母と三人でひっそりと暮らしていたが、同族狩りをしている魔族に見つかり、母とともに父に逃がされる。樹海にある古家で落ち合う約束だったが、3年を経ても父は現れていない。
14歳の頃、同族狩りの別の魔族に古家が見つかり、母が対抗するが敗れる。逢花は隠れていたため見つからずに済んだ。死に際の母から白輝石ラトナを受け取り、母は亡くなった。母を失った恐怖から家に閉じこもるようになり、何日も経った頃に幼馴染の御槌深則が訪ねてきた。
その後、流浪の支配者サレスが彼女の体に転生し、彼の48人目の体となる。唯一、サレスの支配に抵抗しなかったため、彼女の体を使っている間は発作は起きなかった。

御槌深則(ミヅチ ミノリ)

逢花の幼馴染。褐色の肌、長い耳を持つ魔族で、瞳は淡い紫、髪は赤みを帯びた橙色のサイドテール。普段からエプロン姿の快活な15歳の少女。
樹海の奥深くに父と住んでおり、家に一人閉じこもっている逢花のために、毎日料理を持って訪れる(自分が好きで来ていると言っている)。

世界観

種族

人間

大陸の8割近くの人口を誇る種族。身体的には最も脆弱な種族だが、知恵が回り好奇心が強く、さまざまな分野の学問を展開している。その知識と技術の結晶である数々の兵器で、他の種族を圧倒するようになった。

エルフ族

人間と似た姿で、尖った耳が特徴。長命で、成人になると成長がゆっくりになる。森の奥深くに住まい、外との接触を嫌う。
精霊に祈り、彼らの力を用いた術を得意とする。結界術はエルフ族の発祥。エルフ語という独自の言語を持ち、多くはセルシラグ聖国に住まう。

魔族

力が強く、戦闘能力が高い種族。見た目はエルフに近く、褐色の肌と尖った耳が特徴。
フィルテリア・ダグス時代、族長が死に、その座を継ぐはずだった息子ラシルカが去ってから、族長の座を巡って同族内で殺し合いが続いている。積極的に参加した者もいれば、その争いから逃れ隠れた者もおり、一族は散り散りになった。そのため、現代に至るまでに人口を大幅に減らし、すでに絶滅したのではと考えられている。特に、楸のような純血の魔族は珍しい。

クランネ

地水火風、いずれかひとつの理を自在に操る種族。属性は先天的に決まっており、血筋はあまり関係ない。
存在をあまり知られておらず、グラン共和国に多く住んでいるといわれているが、外見は人間と変わりないため、人間に紛れていたり、お互いに同族であることに気付かない場合も多い。なお、フィルテリア動乱期は反ダグス勢力だった。それより以前はフォースと呼ばれていた。
血に秘められた理を操る力を、媒体で外に引き出して発動する。媒体は、指輪やブレスレット、刀など自由。呪文は、力を発動させる合図である特別な言葉。呪文はすべて「(動詞) >> (名詞)#」の形式で、前後の単語で共通する子音が大文字で表記される。1種類でも共通する子音があれば、呪文として成立する。連結が多いほど威力(強度)が増す。
なお、〈地〉、〈水〉、〈火〉、〈風〉は、ひとつひとつ属性が独立しているが、高位のクランネとなると、地を通して火を噴き出させたり、風に乗せて水を飛ばしたり、属性を超えることができる。この技術を属性干渉(タイプリレイス)と呼ぶ。

〈地〉攻守ともにこなせる。発動がやや遅めなので、それを念頭において操る必要がある。
〈水〉魔術・物理なんでも防ぐ防御属性。攻撃はかなり不得手。
〈火〉圧倒的に威力を誇る攻撃属性。「攻撃は最大の防御」の立ち回りが肝心。
〈風〉どの属性よりも速く鋭い。一撃一撃は軽め。防御より回避が得意。

イーゲルセーマ族

種族自体が魔術師といった、魔術に非常に長けた種族。通称セーマ族。普段使うそれとは違う潜在魔力を持ち、それが解放されると、急に体に溢れた膨大な魔力を受け止めきれず、大概の者は死に至る。その魔力ゆえ、別名で「魔王の忌み子」と呼ばれる。
かつて、フィルテリアの地下に住んでいた。外見は人間と変わらないが、地下で生活していたために肌や髪の色が薄いのが特徴。古代に栄華を極めたフリア帝国アルマーダ王朝の末裔といわれている。
フィルテリア時代は、力を畏れられ差別されていた。その後起きた魔徒狩で滅んだとされているが、一部の者は逃げのび、地上の人間たちに紛れて細々と血脈をつないでいるともいわれている。

妖精

透明な羽を持つ小人種族。成人した人間の手のひらサイズの身長しかない。イースルシア中央部にあるカルバニス神殿にあった、聖力を吸う聖樹《ラトナ》と呼ばれる大樹から生まれていた。《ラトナ》は千年に一度、数えるほどの実をつけ、その実から子供の妖精が誕生する。誰もが《ラトナ》の子供であり、そのため生殖器官を持たない。生まれ落ちた妖精は、先輩の妖精にさまざまな物事を教えてもらいながら成長する。魔力を持たない生粋の聖の種族であり、「聖王の落とし子」とも呼ばれる。
純粋な属性であるため、善にも悪にも染まる危うさを持つ。エルフ族以上の長命でもあるので、それによって世界や一族が滅びる可能性もはらんでいた。それを危惧し、先の妖精が設けた掟に従って、彼らは外との関わりを徹底的に根絶している。
そのため、すでに絶えた種族と思われているが、真偽は不明。しかし《ラトナ》自体は数百年前に枯れてしまったため、滅びる運命なのは確かである。
一族に代々、聖界の〈扉〉を封じる〈鍵〉が受け継がれている。遥か昔、聖王バルストが妖精の先祖に譲渡したといわれている。なぜ妖精が選ばれたのかは、己と同じ属性で、純粋な妖精であったからと推測される。〈鍵〉は適性がある者に渡され、聖門の管理者(マールガーター)となった妖精は、魂の世界である聖界の〈扉〉を開き、魂を喚び寄せることができる。死者の声を聞かせたり、その魂たちを兵士として動員することができる。

神獣

世界に五体のみ存在する獣。空界を守護するために神によって生み出された。〈金虎〉ルーディン、〈銀狼〉ジルヴィーン、〈翠龍〉ウィジアン、〈燈鳥〉ラースン、〈蒼馬〉オストヴァンが伝えられている。ダグス・フィルテリア時代までは存在しか知られておらず、世間的に名前まで判明しているのは〈翠竜〉ウィジアンだけだった。
顕現しているが霊体のようなもので、血肉でできた存在とは異なる。よって食事は不要で、無理に食べると消化器官がないため戻すらしい(フルーラ談)。不死だが痛覚はあり、致命傷を負うと一時的に動けなくなるが、時間が経てば回復する。ちなみに切られた場合、断面は真っ白な光のようになっている。
〈燈鳥〉ラースン、〈蒼馬〉オストヴァンは作中に未登場。

世界

空界

人々が過ごす世界。神によって守護されており、聖王も魔王も外部からは干渉できない。唯一、それぞれの世界から通じる道を通ることで降りられるが、その場合は力が大幅に制限される。

聖界

生前死後の魂が集まる世界。そこに聖王が住んだので聖界と呼ぶようになった。聖界に住むのは、無数の眠る魂と<流れを御する者(オーフェラーグ・リデル)>のみ。聖力に満ちた空間とされている。

魔界

もともと魔物が住んでいた世界。そこに魔王が住んだので魔界と呼ぶようになり、魔物も魔王に支配されて魔界の住人(ガリアテイル)と呼ばれるようになった。魔力が満ちる世界。

歴史

聖魔闘争

聖王バルストと魔王ルトオスの世界規模の戦い。聖王が魔界に干渉したことがきっかけで始まったとガリアテイルたちは証言していたが、真相は逆で、ガリアテイルが魔王の助勢を受け聖界に幾度も干渉し、聖王が守り退けるために対抗姿勢をとったため。ガリアテイルの頭数を増やしたい魔王が、聖界で転生を待つ魂を狙ったといわれている。
聖王はオーフェラーグ・リデルとともに応戦。オーフェラーグ・リデルがガリアテイルの干渉を退け、聖王は魔王を止める役割を担い、魂たちを守るための戦いとなった。また、この戦いの影響で、閉まっていたはずの魔界の門が不安定になって、ガリアテイルが門を抜け空界に出没するようになり、空界は彼らの脅威にさらされた。
戦いの序盤は両者とも聖子(ラトネル)、魔子(アルテセル)で遠隔で戦っていたが、聖王が先に空界に下りたため、魔王も下りざるを得なくなった。両者の戦いは空界で続いたが、やがて、魔王が魔界に逃げ込んだところを聖王が通路を塞いだ。聖王は力を使い果たし、魔王は魔界に閉じ込められるという形になった。現界では、聖王と魔王はそれぞれの世界に帰ったと伝えられている。

フィルテリア動乱

ダグスの宣戦布告前の小競り合いから、ダグス–フィルテリア戦争終結までの出来事を指す。フィルテリア小王国で使われる用語。国内でダグスの密偵が次々に捕縛され、ダグス侵略はほどなく訪れると読んだフィルテリア軍部は、対ダグスの軍編成を行うこととする。鋼鉄の装備や兵器を擁するダグスに対抗するには魔術は欠かせなかったが、軍に魔術師が少なかった。魔術師の母数を増やそうと、国内の地下に住んでいたイーゲルセーマ族に協力を要請するが、応じたのはサレス・オーディン一人であった。
サレスは軍上層部に、軍の編成と現場での最高指揮官を任じられ、1週間で軍を再編成し、対ダグスに備えた。その最中、聖魔闘争が勃発し、その混乱に乗じて、ダグスがフィルテリアの国境付近の砦を制圧。すぐに対応したフィルテリア軍が即奪還したが、今後そのような小競り合いが続いた。
その後、ダグスが正式に宣戦布告。フィルテリアに侵攻を開始した。決め手となったダグス-フィルテリア戦争では、サレスが召喚した魔界の女王〈ヘル〉によって、ダグス軍の半数以上の人間が一瞬で死亡。早々にダグスが白旗を上げ、たった1日で決着がつくという前代未聞の事態となった。
フィルテリアは、ダグス領内で最も規模の大きい鉱山があったウィオール地方の譲渡を要求、ダグス軍の弱体化を図った。これによりダグスはグレシルドを造艦できなくなり、以降、大帝国は衰退の一途を辿ることとなった。

魔徒狩

聖魔闘争後に起きた、人間によるイーゲルセーマ族殲滅事件。魔術の理が崩れた世界で、イーゲルセーマ族は理を再構築して唯一魔術を操っていたため、恐れた人間たちが地下に攻め入り滅ぼした。サレスが王となる少し前に起きていた。

魔術

人が宿す魔力または聖力を使い、さまざまな事象を引き起こす術。ほとんどが魔力を使う術だが、聖力を使うものもあり、それらは俗に聖術と呼ばれる。普通の者は魔力の方が多いため、少ない聖力で行使しなければならない聖術は難易度が高い。
基礎知識が複雑で、それを理解できる者は多くないため、魔術師は総じて少ない。基盤としてお手本の魔術があり、それを各々、特性に合わせてグレスノーグなどに独自の改良を加えていくのが普通。そのため、同じ術でも術者によって精度や威力に差が出る。
古代は、「聖と魔の予言神話(ガリカエス)」を根底として魔術は構築されていた。ガリカエスの章を詠むことで、そこに宿る神の力と己の聖力・魔力と同調させ、章の内容を再現させる。古代のイーゲルセーマ族が構築した。聖魔闘争を迎え、ガリカエスが力を失ってからは使用できなくなり、事実上、魔術は絶えた。
ガリカエス崩壊後は、魔術の代わりに理術が生み出された。一方で、サレスは、魔術の力の源や理を試行錯誤しながら研究を進め、独自の手法で一部を再構築して使っている。彼曰く、神の力を使っていないので、威力・性能は昔の2割程度の大幅な劣化版らしい。
章数が小さくなるほど難しく、特に第1、2章の術は禁術。全17章。
1〜7章は、章の朗読として魔導唄(グレスノーグ)が必要。大半は章名の魔導名(グレスメラ)を唱えれば発動する。

【術一覧】

*は聖術、()は過去しか登場しない(=梨音がアレンジしなかったorできなかった)魔術。

*第1章、『永遠転生輪廻の環』

術者の魂が、他人の命を喰らいながら永遠に生き続ける聖術。呪術の部類として扱われる。
究極の大魔術である上、聖力で行使する術(つまり聖術)であり、もはや人に扱うのは不可能な域の難易度である。歴史上、魔術の創造者を除き、二人ほどしか辿り着いたことのないという。

第2章、『漆黒の牙』

魔術の中で最強の術。
作中には未登場。

*第3章、『五神聖霊の舞』

攻撃用の聖術中、最強の術。五角形の白い檻を構成し、檻の中のものを聖力の高圧力で消しとばす。聖力を存分に使うため、難度も消耗も高い。

*第4章、『神威光臨』

白い光の帯が標的に巻きつき、締め上げる聖術。

第5章、『静寂の陣』

幻影を見せ、眠りに誘う魔術。何かしらの恐ろしい幻影を見てから眠りに落ちる。夢の中で先ほど見た幻影に苛まれるらしい。

第6章、『悪魔の隻影』

低位のガリアテイルである〈ダークルシフ〉を自分の影に宿らせ、意志通りに動かす魔術。召喚術に近いが、血で契約した間柄ではないため、誰でも使役することができる。

*第7章、『罰の執行』

4本の槍が中央の標的を射殺す聖術。

(*第8章、『日輪の裁き』)

太陽のような光球から光の雨が降り注ぐ聖術。

(第9章、『魔帝の怨嗟』)

精神を侵し、脳を直接揺さぶる魔術。黒い穴から霊のようなものが吹き出る。意思の弱い者なら内から『壊せる』。

*第10章、『聖帝の咆哮』

己の聖力を放出する聖術。高圧力という聖力の特性を活かしたものといえる。

(第11章、『逆の理』)

属性を反転させる魔術。魔術を聖術に、聖術を魔術に変換できる。

*第12章、『煌然の軌跡』

白い魔方陣から無数の白光が放たれる攻撃用の聖術。

(第13章、『諒闇の俄闇』)

魔法陣から黒の閃光が放たれる魔術。『煌然の軌跡』の魔術版。

第14章、『冥色の光象』

暗さで包み込んで目を惑わす魔術。

第15章、『拒絶の守護』

一切の攻撃を『拒絶』する防御用の魔術。内側からの攻撃は『拒絶』されないため、防御しながら攻撃ができる。しかし、解除した時に、壁が受けた攻撃すべてが術者に反動として現れる。また、術自体も限界が来ると壊れ、やはり反動を受ける。
なお、半透明の壁を展開するが、ガリカエス版では蒼色、ガリカエス崩壊後では緑色になっている。神の力の象徴が蒼であるため。

第16章、『景の不動』

相手の影を針で縫いつける魔術。

第17章、『束縛の黒環』

物を縛ったり、口を閉じたりする魔術。

理術

地水火風の大自然の理を自由自在に操る術。聖魔闘争後に、古代の魔術師らによって魔術の代わりに生み出された。
理術を発動させる際に「理導唄(アシーノーグ)」という短い詞を詠唱する。ただし、発動させたいものに触れていないと発動しない。しかし近年、フェルベスで、道具にアシーノーグを刻むことで、自身が触れる代わりにそれを触れさせて発動させる技術が発達し、複雑な指示や使い方ができるようになった。

召喚術

一定量の血を代価に、魔界の住人(ガリアテイル)を喚び出す術。召喚する者と召喚される者の間に通路が築かれ、それを辿って召喚される者が姿を現す。
契約時、ガリアテイルは契約者にひとつ問いをし、その回答が気に入ったら、それを合言葉として認識し血で契約する。術者の素質や能力よりも、ガリアテイルに気に入られるかどうかが重要。しかしガリアテイルとのコンタクトが難しく、噂では強烈な負の感情が魔界に干渉すると言われているが、定かではない。

神創術(カルフィレア)

アルマーダ王朝の四大属性をもとにした術。かつてフリア帝国で盛んだった術だが、アルマーダ王朝が滅びた際に呪文や理論などが消失した。王朝の末裔とされるイーゲルセーマ族によると、彼らの先祖たちは、国を滅びへと導いたカルフィレアを忌み禁じ、その代わりに、その後の歴史で栄えることになる「魔術」を生み出した。このことから、カルフィレアは意図的に消し去られたと推測される。
フィルテリア・ダグス時代の魔術師たちはカルフィレアを復活させようとしたが、イーゲルセーマ族が協力しなかったため叶わなかった。一族の禁忌を気にしなかったサレスも研究していたが、「自分とは相性が悪く、世界を破滅させるほどの力は使えない」「魔術の方が圧倒的に脅威」という結論から、再現まではしなかった。それは四大属性の定義の曖昧さに起因するが、使い手の発想によっては十分世界を滅ぼす力足り得る。現代で、まがりなりにも使えているのは采のみ。成功確率は低いらしい。
作中で采が使用する呪文は以下。
『黒き雷(いかずち)、黒き力。集え、魔(アルテス)』
『蒼き風、蒼き力。煌け、空(フリア)』
『緋き光、緋き力。呼べ、想(センカ)』
『黒き雷、黒き力。制せ、魔(アルテス)』
『白き闇、白き力。絡め、聖《ラトナ》』

結界術

エルフ族に伝わる、守備に特化した術。精霊による補助を受けており、非常に強度が高く、魔術の『拒絶の守護』よりも強固。
4つの石や紙などに印を書いて四角になるように並べ、エルフ語での詠唱を行えば、印が頂点となって結界が展開される。しかし、印は古いエルフ語で書かれた文章のため、先に準備しておかなければ戦闘には活かしづらい。なお印を書き入れるものは、材質が自然に近いものの方が、精霊の束縛力と効果範囲が広くなる。

魔王召喚

魔界の〈扉〉を召喚し、魔界にいる魔王ルトオスを呼ぶ術。契約者ルシアから、代々イースルシア王家の血筋に受け継がれている力であり呪い。
魔王は、魔界から魔力によって巨大な腕などを空界に顕現させる。それが一振りされると、純度の高い魔力が叩きつけられると同義なため、広範囲に渡ってすべてが破裂し焦土と化す。
召喚の対価はそれまでの記憶だが、後払いなため、召喚後の魔王に対抗できるのなら抵抗可能である。なお記憶の量によっても価値は変わらず、すべての記憶は対等に扱われる。
基本的には記憶が対価とされるが、実はそれ以上を差し出すことも可能。記憶による召喚は、本来の力の千億分の1と推測されている。誓継者(ルース)の命を対価にした場合は、魔王自体を空界に顕現させられるが、その場合のみ先に対価を支払う。

呪咒(アバルゲ)

消滅するところだった聖王バルストを回復させるために、サレスによって施された術の総称。元は呪術の一種。

第一呪咒(アバルゲ)・貌(ソーン)

聖王バルストを回復させる器。聖力のみで構成された体と、意識の器をまとめてそう呼ぶ。いわば人間の体を複写した入れ物だが、オーフェラーグ・リデルが作る人体の術式と違って、時制の術式(時とともに成長する)は含まれていない。不死ではないが、途中で死なれたら困るという理由で、外部からの攻撃には、ある程度耐え得るように頑丈にできている。すべてが聖力でできており、その理由から瞳は金色(つまりバルシーラ)。聖力さえあれば外傷もすぐ治る。
これが壊れることによって聖王バルストが解放されるが、後述の戒鎖(ウィンデル)がある限り、バルストは手出しができない。

第二呪咒(アバルゲ)・戒鎖(ウィンデル)

ソーンの意識の器を封じるもの。
聖王バルストという意識は、意識の器には大きすぎたため入り切らず、体までも侵食。ソーンが拒絶反応を起こしたため、このウィンデルで意識の器に無理やり蓋をし、大部分を封印することとなった。そこからあふれた一部が感情部であり、後の夕鷹である。
これが開放されると、聖王バルストの自我が解放され、夕鷹は本来の「聖王バルストの意思伝達を行う部位」に戻る。力も供給されるため、夕鷹の身体能力も跳ね上がる。外部からでないと解除できず、締まりを緩めたり、片方解除したりは夕鷹の裁量に委ねられている。少し緩めるだけでも能力が飛躍的に上がるので、夕鷹が乱用しがちなため、梨音が定期的に掛け直している。
呪文は、『戒めの鎖よ、砕けることを許すな。汝は不破の鎖。戒鎖(ウィンデル)、結』

用語

イレーシオン大陸

本作の舞台となる大陸。古代はフリア帝国が栄え、後にフィルテリア、ダグスの二大勢力になり、現代のフェルベス、イースルシア、バルディア中心の世界となった。

誓継者(ルース)

魔王召喚の力を受け継いだ者のこと。イースルシア初代女王ルシアの血に宿る力で、代々、受け継がれている呪いとも呼べる。
召喚の代価は「記憶」。召喚すると、自分の名前と魔王をはじめ思想の存在、それに準ずる神獣のこと以外は、言葉の発し方から忘れてしまう。ルシアから数代は毎回だったため、古くは神子族と呼ばれた。しかし、世代を重ねるにつれ発現確率は減り、千年以上経った今は、100分の1くらいの確率となっている。また、ルシアの頃は、感情的になると魔王を喚んでしまっていたが、数世代後に王国軍所属の魔術師による抑止力を付与したため、ある程度は制御できるようになっている。この抑止力は魔界の〈扉〉に巻きついた鎖の形をしており、解除するには口上による詠唱が必要。
『銀よ、開眼せよ。紫黒の衣をまとわせよ。我が存在を辿り、流れつけ。魔界(ガレア)開門』
通常は、セディリーヴァによる次世代への先送りをする。
なお、ルシアは魔王ルトオスに体の構成をすべて魔力に書き換えられており、その血を継ぐ歴代ルースの体も、同様に生粋の魔力で構成されている。純粋な魔力でつくられているものは魔力の影響を受けないので(聖力も同様)、ルースが強大な魔力そのものである魔王を召喚しても影響を受けないのはこのため。

金眼者(バルシーラ)

生物の体は、8割以上ほどが魔力でできており、聖力は2割以下程度しか宿していない。しかしごく稀に、先天的にその割合が逆転した者が生まれることがあり、その者を金眼者(バルシーラ)と呼ぶ。正式名称は「先天性異常構成症」。
基本的に普通の人間と変わらないが、特徴として輝く金の瞳を持つ。
夕鷹、玲哉、明燈、ラシルカが該当するが、金眼が発現している原因は少しずつ異なる。夕鷹は体がすべて聖力でできているからだが、ほか三名はオーフェラーグ・リデルと聖王バルストが関係する。
バルストがいた際は、リデルの作り上げた術式が、稀に、聖力そのもののバルストに触発されて属性値が反転するという偶然の産物だった。ラシルカはこの時代に該当する。
バルストが聖界から去った後リデルがわざと定期的に、同じような術式を組んでいる。理由は、バルストの象徴である金の瞳を生み続け、人々にバルストを忘れさせないため。玲哉、明燈はこの時代に該当する。
魔王ルトオスはイースルシア王家に強く印象を残したため、しばらく力を持つが、聖王バルストにはそのような後ろ盾がない。よって、人々の忘却により、バルストだけ力を失っていくことになる。
しかし、聖王魔王の均衡の崩壊は、空界にも大きな影響を及ぼすおそれがあった。それがどんな形をとるかは誰にもわからないが、リデルは均衡を保つ道を選択し、バルストに手を貸す構図となった。
金眼者はフェルベスでは聖王の力を受け継ぐ者とされ聖魔闘争後から恐れられている。逆にイースルシアでは、同じく聖王の力を受け継ぐ者として歓迎される。
ちなみに生物は、最後に命を狩る際に〈ヘル〉が干渉しやすいように、もともと魔力が多くつくられているため体が慣れており、銀瞳は存在しない。

聖力/魔力

生物に宿る力。質の高さ、保有量などは人によって異なる。また、生物は、最後に〈ヘル〉が命を狩りやすいように魔力が多めにつくられている。
純粋な聖力・魔力は自然界には存在せず、聖王バルストと魔王ルトオスのみが扱う。聖力は高圧力で潰して滅尽させる性質、魔力は低圧力で膨張・破裂させる性質を持つ。なお、術に変換した聖力魔力には、基本的にこの性質はない。

聖子(ラトネル)/魔子(アルテセル)

聖王バルストと魔王ルトオスがそれぞれ使う、己の指先のような力の駒。通路があるなら、聖魔界から遠く空界に放つこともできる。聖魔闘争の序盤は、この駒たちで戦っていた。
傍で使う際は、大本である王の力の余波で動くが、空界で遠隔で使う際は、あくまで王たちの断片という扱いになり、意識して動かす必要があるため、非常に神経を使うらしい。

聖と魔の予言神話(ガリカエス)

神が詠み、世界に刻んだとされる、聖王と魔王の創生から終末の形無き予言書。一般的に「神話書」と呼ばれる。全17章。一節一節が神の力を帯びており、古代の魔術はこれから力を借りていた。なお、神の力の象徴色は蒼。
詠まれた理由として、両王より先に生まれ落ちた神は、全知ゆえに、その後生まれいずるだろう存在たちの戦いを知った。素のままでは、王たちが闘争で振るう聖力や魔力、聖子や魔子に空界の人々が巻き込まれてしまうため、王たちと空界の人々の次元を隔てる透明な壁として、ガリカエスを詠んだとされる。そのため、聖魔闘争終結までしか詠まれておらず、それが役目を果たした後の世界では力を失っている。

神の夢(うんめい)

空界と空界に住む人々、空界に関わる者たち(聖王や魔王など)の絶対の運命となる、神が見る夢。そのため、神の夢=運命と呼ばれる。神獣の〈金虎〉ルーディンが視る未来はこれである。
しかし、原初の存在と、通常とは異なる手法で生み出された存在には因果が結べず、神はその夢を見ることはできない。聖王バルストと魔王ルトオスは、思想の存在であるため認識内だが、サレスによって結果的に生み出された夕鷹と、彼の体の複写である燕朝は認識外となっている。

天法院(セオディス)

グラン共和国の総括機関。頂点に天裁者(セオダ)という五人のクランネがいる。首都ジェノスの中央にある聖堂で、クランネの掟に従い、罪人を断罪したり、今後の国政を決定なども行う。もともとはクランネの文化。

天裁者(セオダ)

天法院(セオディス)の頂点に座す五人のクランネのこと。黒い法衣と黒い丸帽子を制服としてまとう。セオダになる際に、真実のみ話すよう誓いを立てており、嘘をつかない。過去は世襲制だったが、近年は前セオダが指名しての就任になっている。

黒煌石アルテス

強い魔力を放つ黒結晶。「アルテス」は古代アルマーダ語で「魔」の意味を持つが、現代でアルテスといった場合はこの結晶を指す。
魔王の魔力が石となって地に落ち、現代にまで残ったものだとされている。発見地の共通性はなく、見つかっている数も多くはない。聖魔闘争時の産物といわれている。
バルディアの学者が、アルテスから放たれる魔力をエネルギーとして転換させる方法を確立し、それからバルディアの飛空艇や軍艦の動力源として利用されている。なお、アルテスは割れても、元より放つ魔力量は減るが、魔力を放つ性質は変わらないため、バルディアではいくつかに分割し、アルテスを搭載した機械を増やしている。

白輝石ラトナ

強い聖力を放つ白結晶。「ラトナ」は古代アルマーダ語で「聖」の意味を持つ。
アルテス同様、聖王の聖力が石となって地に落ち、現代にまで残ったものだとされているが、アルテスより圧倒的に数が少なく、ほぼ幻の石。作中では逢花が持っており、夕鷹の手に渡っている。

追喚典礼(セディリーヴァ)

〈金虎〉ルーディンの力によって、魔王召喚の力を先送りにする儀式。魔王の魔力と相対する聖力と、未来を視る力で次世代へ力を受け渡す。誓継者(ルース)は15になると、護衛を伴ってルーディンが棲むとされるカルバニス神殿へ向かうのがしきたり。

18章の護り(ゲイル=アーク)

バルディアの国境すべてに築かれた巨大な壁。名前の由来は、魔術の18章『拒絶の守護』。この壁のおかげで、バルディアは他国の侵略を受けない。壁の所々には関門や要塞が設けられており、入国するにはそこを通るしかないが、バルディアは現在、他国民の入国を拒否している。

魔戦艦(グレシルド)

ダグス軍の陸上巨大戦艦。魔術師が数人がかりで操り、大規模な魔術を展開する。砲台からは、弾ではなく魔術を射出する。普通は詠唱するグレスノーグを、魔法陣に刻むことで発動させている。
基本的には、魔法陣ひとつにつき、一種類の魔術しか扱えないが、pastralでは三種の魔術が詰め込まれた魔法陣が使われている。
装甲は鉄、動力には魔力が使われており、攻防とも高く、これが1台いるだけで戦況が大きく変わる。大規模な魔術やクランネの力でしか対抗はできない。

女王祭

イースルシアが建国された日を中日にして、3日間行われる、初代女王ルシアを讃える祭。首都パセラで開催される。

セルディーヌ

イースルシア王家が所有している飛空艇。バルディアで前に使われていたもので、六香いわく、最新版のひとつ型落ち。そのためアルテスを動力としている。
非常時に、王族の脱出艇として機能する予定のもの。艦長は波留であることが多い。

フレイ

グランのレグスフリア山脈ふもとに生息する、巨大な飛鳥。淡泊な橙色と純白の羽を持ち、大きいものだと全長2.5メートルある。非常に人懐こいため、旅人には移動手段として利用されることが多い。しかし、過去の乱獲から数が極度に減っていて、毎年だんだん絶滅へと向かっている。

七光歌(しちこうか)

フィルテリア時代から伝わる、神を賛美する歌。曲名の由来は、絵画で神が七色の光に例えられるところから。しかし現代では、すでに別の聖歌が歌われている。

パルトラの夢

4章canonで玻璃が奏でる曲。もともとは童話のタイトルだが、その童話を読んだある作曲家が物語を楽曲にしたもの。
主人公パルトラは、画家になるのが夢だった。ある日、出会った貴族に彼は絵の腕を認められ、その貴族付きの画家になる。しかしそれは夢が描いた『夢』で、目覚めたパルトラは残念がる。夢から覚め、悔しい思いをしたパルトラは、今度は必ず、現実で夢を掴んでみせると絵の鍛錬に打ち込むようになり、『夢』で見たような展開で現実でも画家になる。「努力すれば夢は叶う」という希望を描いた物語。

夢風車亭

フェルベス国内でチェーン展開している、六香の好きな駄菓子屋。首都シーヴァに本店がある。夢茶、夢草団子など、商品名の頭には必ず「夢」という言葉がつく。

無線電話

バルディアで近年開発された技術。2機セットで、その端末間で無線で連絡がとれる。

アルマーダ王朝

フィルテリア・ダグス時代より昔、現代のバルディア、フェルベス、イースルシアの領土を治め、フリア帝国を築いた王朝。
空(フリア)、想(センカ)、聖(ラトナ)魔(アルテス)の四大属性を信仰しており、またそれらの魔術によって、現代より高度な技術を持っていた。
空は神と空界を、想は空界で暮らす人々を表す。聖と魔は、それらを善い方、悪い方へ導く思想を表す。しかし、善なるものも行きすぎると魔に堕ちる、逆も然りと考えられていたため、聖と魔は一対のものとして信仰された。やがて、聖王バルスト、魔王ルトオスとして人格を与えられ信仰されるようになり、両王の生まれの基盤となった。

◆聖(ラトナ)…象徴色・白。魂、高尚、浄化、万物を括る概念。
◆魔(アルテス)…象徴色・黒。力、邪、侵食、万物を括る概念。
◆空(フリア)…象徴色・蒼。神、空界、空、風、天気を括る概念。
◆想(センカ)…象徴色・緋。心、思念、人格、人間を括る概念。

フリア帝国は、アルマーダ第八王朝時代に繁栄を極めたが、その数世代後、王朝は滅亡。伴って、帝国も衰退し滅んだと推測される。
なぜ王朝が滅んだのかは不明だが、アルマーダ王朝の末裔がイーゲルセーマ族だといわれている点から、地上で生きられなくなった、もしくは失脚に遭ったなどで、地下へ退避したと思われる。そのうち、地上に留まった人間と差異が生まれ、一種族として分岐したのではと推測される。

古代アルマーダ語

フリア帝国時代に共通語だった言語。現代でもさまざまなものに名残がある。魔術の魔導唄(グレスノーグ)は詠唱も名前もそれであり、後代が引き金として魔導名(グレスメラ)を組み込んだ。イースルシア王家の誓継者(ルース)など、古くからあるものは古代アルマーダ語である。

ケルマネム

セルシラグ聖国の国境に展開されている巨大結界。外からの来訪者が増えたため、本編より5年以上前に設置された。部分解除にはエルフ語での詠唱が必要だが、解除できる範囲は人ふたり分程度が限度のため、大型のものは入れない。部分的になら穴を開けても自動修復する。

聖域番(レスティア)

ケルマネムとともに設置された職種。結界の監視や、部分解除して入国して来た者を見定める役目を負う。
基本的にエルフ族以外は通さない。エルフ族はエルフ語が公用語だが、レスティアは他種族と簡単な意思疎通をはかるために、大陸での共通語を多少習得する必要がある。場合によっては武力行使するが、国家としては他国と関係をこじらせたくないため殺しはしない。