nostalgia

40 Recurrence 04 幸せの定義

 闇の中、等間隔に夜を引き裂く灯り。その中の1つの傍にいるおかげで、その文面がぼんやり見て取れた。
「アイツ、どんな教育受けてきたんだ……」
 何度見ても、思わず溜息が出る。ヒースは片手に持った小さな紙を見て、やはり溜息を吐いた。

>> ミディアより

 

フィレイア=ロルカ=ルオフシルから、ヒース=モノルヴィー、カルマ=レングレイ双方へ。当人が現れたら、この紙を渡すべし。
例の剣の場所は、ヨルムデルの地底。大きな鏡に囲まれた緑の孤島。ヨルムデルにて、アルトミセアの真言を唱えよ。

 そんな堅っ苦しい文が、女の子らしい丸文字で書かれているのだ。この筆跡はルナだ。

 ヒースがティセドであった期間は、たった1週間。それ以前は賞金稼ぎだったが、結婚を機にグレイヴ教団に入団した。
 対してルナは、1年ほど。ヒースと比べてしまうと長く感じられるが、かなり早い方だ。
 元々ルナは、並の人よりちょっと運動神経が良い、ただの子供だった。それ故、13歳の入団したてのティセドの頃は、ゲブラーを目指すその中で一人浮いていた。義姉に何度もゲブラーはやめろと言われながら、彼女はひたむきに努力して、戦う術を手にした。
 血も繋がっていないのに両親をなくした自分を引き取り、これまで世話をしてくれた姉。母とも言えるかもしれない。
 姉は、レセルを目指し。ルナは、そんな姉を守る剣を目指した。それが、姉に対して、彼女ができる唯一の恩返しだった。

 ――と、ヒースはルナが入団した理由や、その経歴を一通り知っているわけだが。
(ティセドにあんま長居すると、こんな文章書く練習でもさせられるのかねぇ……)
 その紙をごそごそコートのポケットにしまって、寝転んでいるヒースは夜空を見上げた。近くにある灯りのせいで、星があまり見えない。悪い位置だな……と、ぼんやり思いながら、夜に響く虫達の声に静かに耳を傾ける。
 フェルシエラで、教団の人間によって届けられたという一枚の小さな紙。そのおかげで、レミエッタ公爵夫人アリシアとの話はスムーズにまとまった。戦力不足でノストを連れていくということにも、本人さえよければいいと快諾してくれた。
 その3日後。ヒース、カルマ、ノストは、再びミディアにいた。これから行く目的地がマオ山脈の北側にあり、道を引き返すほかなかったからだ。
 山道を抜けた頃には夕暮れで、一番近かったミディアで一晩休むことになった。そして夜、ヒースはこうしてミディアの中庭の芝生の上に寝転んでいる。
 ミディアに帰ってきてみると、ルナはすでにセントラクスへ発った後だった。ヒース達は知らないが、疲労で倒れていたフィレイアも1日ほどで回復し、イクスキュリアで行われる国議に出発した。
 いつもはルナが護衛についていくのだが、彼女が留守のため、代わりにイルミナがついて行ったそうだ。何気なく聞いたが、考えてみれば今後の国議は、国の新参謀スロウが司会だ。
 だから誰もいないのかと思ったら、負傷したサリカが当然だが残っていた。皆がいない理由は、すべてベッドの上の彼から聞いた。動こうと思えば動けるが、医者からは安静にしているように言われたそうだ。それで留守番らしい。

「ヒース」
 目を閉じてヒースがぼんやり考えていると、虫達の声を掻き消すように声がした。それから、かすかに芝生を踏む音。
 ヒースが目を開くと、もう寝たと思っていたノストが横に立っていた。
 今は闇に溶け込んでわかりづらいが、ノストは屋敷にいた時に着ていたような高級な服ではなく、襟が高い黒い服を着ていた。貴族の着る服は目立って仕方がないし、短い距離だが旅をするんだからもっとラフな服を着ろとヒースが指示したが、大のつく貴族の屋敷にそんなもの当然の如くあるはずがなく。ヒースが仕方なく、このミディアに着いてから、ここに放置しっぱなしだった自分の服を貸した。だから若干サイズが大きい。
「どうした?珍しく奇襲してこないんだな。今、無防備だからチャンスだぞ?」
 仰向けのまま、そう軽口を叩いてみるが……返答なし。なんとなく、苛立っているように見えた。
 ヒースが思わず口を閉ざした時。
 音もなく、夜を白刃が切り裂いて、

 ドッ!!

 ……虫達が、一瞬黙り込んだ。
 そして、緩やかにまた歌い出す。
「……答えろ」
「……何を?」
 頭のすぐ横の芝生に突き刺さったノストの剣を横目で一瞥してから、ヒースは、未だ強い力で逆手に柄を握るノストを見た。その目が……ヒースしかわからないだろうが、いつになく本気で怒っていた。
「説明不足か?グレイヴ=ジクルドが実在して、それをスロウと取り合うゲームをすることになった。スロウの手に渡ったらアイツの思うように利用されちまうが、俺が手にしたらそれをブッ壊す。……何か変なとこでもあるか?単純明快だと思うぞ」
 ノストが怒っている理由に、心当たりがないわけでもなかった。だが、ヒースはあえて、しゃあしゃあとそう言った。
「……ざけんな」
 ノストの腕に更なる力がこもる。
「吐け。お前が隠してること、全部だ」
「…………何でわかった?」
「グレイヴ=ジクルドは人間には壊せねぇ」
「あぁ……そういやそうだな」
 と、ヒースは今更のようにそう言い、そして納得した。
 グレイヴ=ジクルドの性質のことや、オースやアルカのことなどを綴った、教団に管理されている真実の聖書は、通常、教団の人間以外は閲覧できない。
 だが――どうやら、レミエッタ公爵家を舐めていたらしい。ラウマケール第一位の公爵家なら、もしかしたら真実の聖書の写しでも所有していても、おかしくないかもしれない。何より、このおぼっちゃんが博識だということを忘れていた。
 それだから、疑問に思ったのだろう。人間に壊せるはずがないグレイヴ=ジクルドを、「壊す」と宣言するヒースを。
 自分が真実の聖書を知っているのだから、教団の人間であるヒースが知らぬはずがない。だから何か隠していること……「切り札」があるのだと推測した。
 ヒースは少しの間、口を開かなかった。しばらくしてから、何か考えついたのか小さく笑った。
「そうか。ディアノストおぼっちゃまは、自分が仲間はずれにされてるのが気に食わないのか」
「言え」
「言えねぇよ」
「………………」
 面白いぐらい、あっさりとした返答。テンポ良く返ってきた一言に、思わずノストは声を失ってしまった。
 剣の柄を握る力が緩んだのを見て、ヒースは刃を押し退けて、ゆっくり体を起こした。すっかり勢いが削がれてしまったノストは、ヒースに押されるまま、無意識に剣を鞘に戻す。
 足を伸ばして座る格好になったヒースは、ノストに「まぁ座れよ」と言い、大人しく座った彼に、真っ暗な夜空を仰いで言った。
「なぁノスト……お前の幸せの定義って、どんなんだ?」
「……知らん。剣の腕を上げることか?」
「はは、そりゃわかりやすくていいな。幸せの定義ってのは、人によって違うだろうが……俺は、『何も知らないこと』だと思う」
「………………」
 そう言うヒースの目は――何処か、悲しげだった。
「教団のレセル、ゲブラーを例にするか。どっちもティセドの頃は、希望に満ち溢れてるわけだ。たくさん勉強して、たくさん修行して、レセルやゲブラーになるってな。だが……ほとんどの奴は、そこで知っちまうんだよ。自分の限界っていう壁をな」
「………………」
「それを越えられなかった奴らは、自分には無理だったんだって絶望して諦める。自分の壁に気付いちまったばかりに、挫折する。気付かなければ、そんなこともなかっただろうにな……」
 夜空から視線を外して、そのまま自分の正面に目を落とす。暗がりの中、花壇を彩る、丈の長いピンクの花が目に入った。
 故郷の家の近くにも咲いている、彼女が大好きだった――イルの花。

「―――――俺は……言えなかった」

 あまりにも悲しすぎる現実を、突きつけることができなかった。
 彼女だって自分で気付いているとわかっていたのに、言えなかった。
 何も知らない幸せ。
「……とにかくまぁ……俺は、何も知らないことが幸せの定義だと思うわけよ。だから、ノスト……お前には言えねぇ。お前だけじゃねぇ、何も知らない奴全員だ……俺達が隠してる、【真実】ってヤツをな」
「………………」
 それなりに理由があるのだとわかったが、何処となく漂う、丸め込まれたような気は否めなかった。
 納得しきっていないノストの様子を感じ取ったヒースが、少し考えるように暗い空を見上げて、そして思いついたように言った。
「んー、そんじゃ……代わりっちゃなんだが、それとは別に、誰にも話してねぇこと教えてやる。お前にとっちゃ、くだらねぇかもしれないけどな」
 ノストが横に目を向けると、横顔のヒースは目を閉じて――自嘲するように笑って、言った。

「……俺の女房な、病気なんだ。それも俗に言う不治の病ってヤツ……な」

 ヒースは伸ばした足を引っ込め、芝生の上にあぐらをかいて両膝に肘を置き、回想するように、ぽつりぽつりと語り始めた。
「元々、アイツは体が弱かったから……いつもの持病かと思ってた。だが、いつもより症状がひどくてな……嫌な予感がして、村の医者呼んで診てもらったら……ドンピシャだ」
「………………」
「……医者は、俺にしかそれを言わなかった。陳腐な表現かもしれねぇが、俺は頭の中が真っ白なった。文字通り、な」
「……それが定義の理由、か」
 何も知らないことが幸せだという、ヒースの定義。その理由が、垣間見えた。
 ヒースは少し沈黙して、「……まぁな」と呟いた。
「アイツにどんな顔をして会ったらいいか、わからなかった。言えるわけなかった。何も知らないアイツが笑顔で話しかけてくると、どうすればいいのかわからなくなった。今まで自分がどう接してたか、思い出せなかった。俺は、自分が本気で笑ってんのかわからなくなった。……そのうち、アイツは俺の態度の変化に気付いて、真実を悟った」

  『ごめんなさい』

 彼女の悲しそうな顔が、今でも脳裏に焼きついている。
 自分のことで、ヒースが思いつめていたことを、彼女は謝ってきた。
 誰にも話せなかったのは、つらかったよね。私のせいで、ごめんね……と。
 本当につらいのは、彼女のはずなのに。
 この旅だって、本当は行かないつもりだった。
 余命少ない彼女の傍にいて、彼女がいなくなるまで、ずっと傍にいるつもりだった。
 しかし……自分は今、ここにいる。
 彼女の、願いだった。

  『私の傍にいないで』

 貴方にはやるべきことがある。私一人なんかより、ずっとずっと重いモノを背負ってる。
 だから、貴方はそれを守り抜いて。私の傍にいないで。私を枷にしないで。
 同じように、私がこの子・ ・ ・を守るから。

「俺は、家から出てきた。アイツを置いて。だから……今、アイツがまだ生きてるのか、もう死んでるのかすらもわからねぇんだ」
「………………」
「アイツの言葉を尊重して、家を出たつもりだったが……俺はただ、逃げてきただけなのかもしれん。ベッドに横たわるアイツの顔を見て、死んだって認めちまうことから……」
 自分でも、最悪な奴だと思う。妻の死に際に立ち会わないなんて夫が、自分以外にいるだろうか。
 それがいくら彼女の願いだとしても、どうして無理にでも逆らわなかったのだろう。
 やっぱり自分のことしか……俺は、考えてなかったのか?
「……だから……知らない方がよかった。何も知らない頃が、幸せだった……」

「……違うな」
「……?」
 今までずっと黙って自分の話を聞いていたノストが、不意に口を開いた。ヒースがノストを振り向くと、彼は前を向いたまま、自分で確かめるように静かに言う。
「そんなの幻だろ」
「……幻……」
「夢から覚めるのを拒んでるのと同じだ。上辺でしかない。すべてを知って、それを乗り越えて掴んだものが……本物だと、思う」
 ……きっと最後の辺りは、珍しく自信がなかったのだろう。いつも自分の意見が世の理だと言わんばかりに、自信たっぷりで言うコイツの口から、「思う」なんて言葉が出るとは。とにかくヒースは、自分の目が飛び出ているのを自覚した。
 無表情かつ無愛想で、そりゃもう口は悪いわ態度はデカイわ、自己中なあのノストが……まるでヒースを慰めるようなタイミングで、これまた珍しく毒舌じゃなく、自分の意見を述べたのだ。これを驚かずにいられるだろうか。
「………………っふ、ははははははははッ!!!!」
「……何だ」
 そして、これを笑わずにいられるだろうか。一方、ヒースがいきなり大声で笑い出したことに、ノストは彼を見て疑問そうだ。
「はははっ!! ノスト、お前、変わったな!」
「はぁ?変わった?」
「初めて会った時なんか、ただちょっとクールなワガママ息子って感じだったじゃねぇか。まさかそのワガママ息子に慰められる日が来るなんか、思ってなかったからなぁ!」
 虫の声を掻き消すような音量で、ヒースの笑い声が静寂の中庭に響き渡る。
「……舐めてんのかてめぇ」
 ノストは、ヒースは固い信念を持った強い人間だと思っていた。しかし、当然ではあるが、そんな彼にも弱い部分があった。
 だから、ヒースの幸せの定義に口出しするつもりではなかったが、自分が意見して彼の悲しい定義が、少しでも変われば――そう思って言ったノストは、その意見自体を笑い飛ばされたわけではないが、笑い出したヒースの様子に少し機嫌を悪くした。低い声でそう言うと、立ち上がる。
「悪ぃ悪ぃ、普段の行いが物を言うからな、つい笑っちまった」
 去ろうとして歩いていくその背中に、大分笑いが収まってきたヒースが、それでも笑いの余韻を残したまま言った。ノストは足を止めず、それを聞く。
「意見サンキュ。もう少し、俺なりに考えてみるわ。……ありがとな、ノスト」
 その言葉達を、ノストは歩みを止めず、背中で聞く。やがて彼は、一番近かった礼拝棟の扉をくぐっていった。
 ノストは、自分の好きなように行動しているから、相手に礼を言われるようなことはしていないと本気で思っている。だから今みたいに、礼は面倒だから受け流す。そんなだから、冷たい性格だと勘違いされてしまうのだが。
 一人になり、元から中庭は広いが、さっきより広く感じられた。ノストと話している時は、ほとんど耳に入らなかった虫の声が、今は自然と耳に入る。
 明日は早い。自分ももう寝ようと思って、ヒースは腰を上げた。先ほどノストが入っていった礼拝棟の扉を通り、ミディア内に足を踏み入れる。宿舎棟は反対側だから、通路を歩いていかなければならない。
(無知な幸せは、幻……か)
 暗い中、ガラス張りの中庭側の壁から注ぐ月光が床を輝かせていて、それが一種の灯りのようだった。通路を歩きながら、ヒースはさっき言われたことを思い出した。
 確かに……言われてみれば、そうかもしれない。
 例えば、自分が彼女の病気を知らずに過ごしていたら。確かに幸せだろう。彼女が死ぬ、寸前までは。
 しかし、彼女が死んだ後で、何も知らなかった自分を悔みそうだ。……って自分、アベコベになってないか?
 ノストは、すべてを知って、それを乗り越えて掴んだモノが、本物の幸せじゃないか、と言った。
 だったら――彼女の病気のことも、彼女の余命が少ないことも知った自分は、どうやってそれを乗り越えて、本物の幸せとやらに出会えるのだろうか。

『未練を残さないこと』

「……!?」
 突然、柔らかな少女の声がした。それは、耳元で聞こえたようで、遠くで聞こえたようで。
 ヒースが踏み出した足に、瞬間的にブレーキをかけて歩を止めると、目の前に、スゥーっと闇から浮かび上がるように白いものが現れた。
 頭の先からつま先まで、真っ白な少女だった。純白の腰で切り揃えられた髪と、白いドレスのような服。足は……裸足。しかも、地面からなぜか数センチ浮いている。表情は、無表情……というより、ぽやんとしている。
 黒の中に白いモノが1点あったら間違いなく目立つだろう。しかし、この白い少女はむしろその逆で、不思議と周囲の闇と見事に調和しており、もっと距離があって一瞬でも目を逸らしたら見失ってしまいそうだった。
「彼女は、キミのことを信じてた。だから、あんなことを言ったんだ。それに気付かなきゃ……残されたキミを蝕むのは、ひどい後悔」
「……な……お前……一体」
 まるで心の中を見透かされているような少女の言葉も驚きだが、ヒースはまず、この少女が人間ではないことに驚いていた。同時に、その心を見透かしたようなセリフも、理由なく納得する。
 人間ならば、耳がある位置。そこに生える、一対の淡い黄色の羽。――何よりも、この少女の、人ならざる雰囲気。
 少女は、闇の中ではわかりづらい水色の瞳を、驚愕しているヒースに向け、言った。
「ヨルムデル」
「―――!?」
 唐突に少女が口走ったその単語に、ヒースは体の芯が凍りつくような感覚に襲われた。目を見開いたヒースの前で、少女は彼を見つめたまま続ける。
「遺跡の謎を解かなきゃ、そこへは入れない……」
「おまっ……まさか、記憶を……!」
「うん」
 自分よりもずっと小さい少女に対して、ヒースは冷や汗を浮かべて、一歩下がった。ヒースが愕然と紡いだ言葉に、少女は小さく頷く。
 この少女が自分の記憶を視たのだとわかると、彼女が何のために現れたのかもわかった。少女が読んだ記憶は、自分の、グレイヴ=ジクルドに関する記憶。
 つまり、この少女は――、
「……うん……ごめん。ボクらは、スロウ君には逆らえない」
 この少女は――スロウの手の者だ。
 少女が何処か悲しげに目を伏せると、その白い姿が、再び闇の中に溶けていく。
「おい、待てっ……!!」
 とっさに大きく踏み込んで、少女の腕に手を伸ばしたが、手応えはなかった。少女の像の中を、スカッと手は引っ掻く。
 苦渋な表情をしたヒースに、少女は憂えるように目を閉じて――そして、背景に溶けるように消えていった。
『彼女は、キミを信じてた。だから、キミも彼女を信じてあげて。……そうすれば、きっと……』
 姿が消えてから聞こえた、少女の祈るような声。その声をぼんやり聞いてから、ヒースは、掴むものがなくて意味無く浮いていた静かに手を下ろす。
「……アイツが……俺を、信じてた?」
 ……意味が、わからない。
 確かに、彼女との信頼関係は厚いつもりだ。そうでなければ結婚などしない。
 しかし、一体、彼女が自分の何を信じて、この旅に向かわせたというのか。
 そして信じられた自分は、彼女の何を信じればいいのか。

「……俺、は……」