微妙な距離
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masquerade

29唯一無二の存在

…………ゴクリ。  意を決して、握り締めた拳を顔の高さにまで上げる……けど、やっぱりそれ以上動けない。たった2回、叩くだけなのに。 「……はぁ……」  これで何度目だろ……私は溜息を吐きながら、上げた腕をのろのろ下ろした。  朝がやってきました。布団も温かくて、ぐっすり寝た。部屋から出た時、隣の部屋のドアが目に入って……昨夜のことを思い出した。  とりあえず、ノストさんと顔を合わせて……ちゃんと言おうと思った。やっぱりあの質問、なかったことにして下さい、みたいなこと。それで今、ノストさんの部屋のドアの前に立って、ノックしようとしてるんだけど……やっぱりっていうか、なかなか勇気が出ない。ううー……。  すーっ、はーっと深呼吸。大丈夫大丈夫、顔を合わせて、聞いちゃってゴメンなさいって言うだけだし。  いや、もしかしたら、こんな小さいノックしようとしてるからダメなのかな?ここは、どーん!と殴るくらいの勢いのノックの方が、気持ちが高揚するしいいかも?うんうん、それで行ってみよう!よっし……今度こそ!  うんっと大きく頷いて、再び拳を上げる。今度は、その拳を少し後ろに引いて、カンペキ目の前のドアを殴る体勢。 「ほわちゃーッ!!」  なんとなく掛け声をかけて、ドアをノックする(ぶん殴る)!!  そして……、  ゴンッ!!! 「………………ったぁああっ!!?」  骨を通じて襲ってきた強い振動!ドアをぶん殴って負けた私は、前に出した拳を胸に抱いてその場にうずくまった。い、い、いったあああっ、殴ったら何でも痛いってこと忘れてたぁああ!! 「格闘家にはほど遠いな。潔く諦めろ」  上からの声に、私ははっとした。しゃがみこんでいて、下の方しか見えないけど……いつの間にか、ドアが開いていて、目の前に、見たことのある靴。  見上げると、言うまでもないけど、ノストさんがこちらを見下ろしていた。しゃがんでるから、元からだけど、さらに彼の背が高く見える。 「の、ノストさん……ご、ご、ご……ご、ご機嫌麗しゅう、です……」 「朝からやかましい騒音女」  うっ……ま、また名前増えた。騒音女って……否定し切れない自分がなんか悲しい。ちなみに、本当は「ごめんなさい」って言おうと思ったんだけど、何でそこ謝るの?って思って、変えようとしてとっさに「ご機嫌麗しゅう」になった……誰よ自分。  とりあえず、立ち上がって一言。 「ち、ちなみに言っておきますけど、私っ、別に格闘家目指してませんからね?」 「なら密偵か。それもほど遠いな」 「へっ……?! も、もしかして……ドアの前にずっと立ってたこと、気付いてたんですか!?」 「気配くらい消さねぇと密偵失格だぞ」 「む、無茶言わないで下さいッ!」 「所詮は凡人か……」 「うっ……うう……」  最終的にはそこなんだな……もういいもん。  言い返せなくなって黙り込んだ私は、はっと、今までノックできなかった自分を思い出した。  え、ちょっと自分……何いつも通りに突っ込んでるの!? いや、ツッコミはノストさんか?って、それはどうでもよくて!  もうこのやり取りが染みついちゃってるのか、当然のようにいつも通りに話しちゃった。自分が彼の部屋をノックした理由を思い出して、途端に黙り込んだ私を察してか、ノストさんは静かに言う。 「聞きに来たのか」 「……違い、ます」 「なら何だ」  お父さんとノストさんの関係について、そう言われて、私は、知りたいとは思うけど、とりあえず首を横に振った。否定した私を、ノストさんが訝しんでいるのがわかる。  よし、まずは……、 「ノストさん……すみませんでしたッ!!」  謝った。勢いよく頭を下げて。自分でも思うけど、私、頭下げること多いよね……。 「私、オルセスで偉そうなこと言って……なのに、聞いちゃいました。心の中で言ったつもりだったんですけど……」   『私は、その人が自分で喋ってくれるまで待ちます』  自分の言葉が反芻される。あんなこと言っておいて、早くも破っちゃうなんて……甘いよね、私。 「綺麗事一筋で生きていける奴なんかいるか」  私が何のことを言っているかわかったらしく、顔を上げた私に、ノストさんはそう言って私の横を通りすぎる。 「綺麗事は理想だ。理想は理想でしかない」  背後に回るノストさんの言葉は、確かにそうなんだ。理想は、現実とは真逆。ただの夢物語でしかない。厳しすぎる現実を少しでも軽くするために生み出された、仮想の夢。  想像するだけなら、ただの夢でしかない。そう……想像するだけなら。 「でも……理想に向かって動き出したら、その『理想』って、目標と同じですよ。目標が高いと、頑張れるじゃないですか。頑張れるなら……理想も、現実になるんじゃないですか?」  きっと、そんな気がする。少なくとも、私は。  ゆっくり後ろを向きながら、そう言った。階段の手前で立ち止まっていたノストさんは、少ししてから私を肩越しに見た。 「……お前の言葉は、すべて綺麗事だ」 「……そう、ですか?」 「ならやってみろ」 「え?」 「理想が目標になる話。お前がその綺麗事を現実にしてみろ。無理だろうがな」  そうは言ってるけど、きっと半分も信じちゃいない。くだらなさそうに吐き捨てて、ノストさんは階段を下り始めた。  ……くっそう、なんか悔しい。こうなったら、やってやる!理想を現実にしてやる!そしたらノストさんも、私の言葉を「綺麗事」なんて言わなくなるに違いない!見返してやる~っ!!  とにかく、そろそろ朝ご飯だろうし、階段を下り始めたノストさんを追っかけて、私も少し早足で階段を下りる。 「あっ……そうだ。ノストさん、ちょっと止まって下さい……って、無視しないで下さいよー!止まってくださいッ!!」  真ん中辺りでノストさんと並んだ時、ふと、私があることを思い出して、ノストさんにそう言った……けど、止まってくれないこの人!階段から落っこちそうになりながら、私がとっさに彼の服を引っ掴むと、ようやく止まってくれた。ノストさんは面倒臭そうに私を振り向く。 「何だ」 「ノストさん……どうして、ミディアに入ってきたんですか?スロウさんが中にいるって、わかって入ってきたんですか?」 「ミディアの入り口は1つだ」 「……つまり、スロウさんが入っていくところを見たわけですね……」  な、何で理解できてるんだろ私……つまり、出入り口は1つしかないから、そこを見てれば、誰が中に入ったとか出てきたとかわかる。スロウさんが入っていくのも見たんだろう。で、最初ミディアに入らないって言ってたノストさんだけど、スロウさんが何しに来たのか気になって、仕方なく入ってきた……って感じかな。  それはいい。それよりも、私は……昨日、スロウさんの去り際のことが気になっていた。 「……ノストさん……昨日……スロウさんに、何て言われたんですか……?」  知りたかったけど、同時に怖かった。なぜだか……聞いてはいけないような気もしてたから。  だから、小さい声で、静かにそう問うと。……予想通り、ノストさんの雰囲気が、鋭く収束するのがわかった。 「お前には関係ねぇだろ」  何処となく苛立たしげに言い捨て、ノストさんは階段を下っていく。彼の服を掴んでいたはずの私の手には、力が入らなくて。ノストさんは、一段一段、遠ざかっていく。  ……心に突き刺さった、尖った言葉。  確かに、関係ないことなのかもしれない。でも……なんだか、寂しい。  階段を下りると、あの長い食卓の上に、すでに朝食が並べられていて、部屋にいい香りが充満していた。  料理を運んでいたコックさんの服を着たお兄さんが、私とノストさんに気付いて微笑んだ。少し長めの紫の髪で、若干、中性的な顔。20歳前半のさわやかーなお兄さんだ。 「やあ、おはようさん」 「おはようございます、イルミナさん!」  穏和に微笑むこのコックさん、イルミナ=ロルカさんって言って、名字でわかったかもしれないけど、フィアちゃんの実のお兄さんだ。ふふっ、なんか可愛い名前だよね。  フィアちゃんは元々、セントラクス近くの町で普通に暮らしていたらしい。そこに前セフィスの言葉に導かれてやってきた神官さん達が来て、両親に事情を説明し、フィアちゃんにミディアまで来てもらった。  そして、セフィスになる儀式をして……見事、フィアちゃんは、ベッドの上に寝ている前セフィスの首からリュオスアランを外した。こうして、フィアちゃんはセフィスになったわけだ。  でもその時、フィアちゃんはまだ10歳で、家族と離れて暮らすなんて耐えられるはずがなくて、毎晩泣いていたそうだ。イルミナさんは、そんなフィアちゃんを案じて、14歳で自ら教団に入り、2年かかって、フィアちゃんのいるこのミディアに所属することができたんだって。  いいお兄さんだよね……!ちなみに、そうは見えないけどゲブラーらしい。  あ、それから、このミディア所属の神官は、サリカさんとルナさん、そしてコックのお兄さんだけらしい。団結力、凄く強そう……。  わー、いい匂い~っ。なんだろ?と思って食卓に駆け寄った私に、イルミナさんはふふっと安心したように笑った。 「昨日、何か思いつめてたみたいだけど、その様子だと、とりあえず解決したみたいだね。よかったよかった」 「えっ!? ……そ、その……わ、わかりました?」  当然イルミナさんに言ったつもりだったけど、私の横に歩いてきていたノストさんが、食卓のイスを引いてそれに座りながら、イルミナさんより早く口を開いた。 「てめぇが5分前からドアの前にいたことか」 「ま、まだ引きずってるんですか!っていうか5分前から気付いてたのに、何で言ってくれなかったんですか?!」 「新しい芸を考案中らしかったからな」 「してませんよ!しかも気を遣うところ違いますからっ!」  どうしてそういうところに気配りできるのに、他のことにはできないんだこの人っ。そんな思いを込めて言うと、私の右側に立っているイルミナさんが小さく噴き出した。 「ぷははっ、朝から元気で何よりだよ。大丈夫、俺しか気付いてないから」  そ、そっか……ホッ。にしてもイルミナさん、侮れん……洞察眼だけとるなら、フィアちゃんをも凌ぐんじゃ?むむ、やっぱり顔に似合わずゲブラーってのがあるのか。や、関係ないか。  朝食は、スパイシーにカリッと焼けたパンと、野菜たっぷりな鶏ガラスープだった。うはぁ、おいしそー!と私が見惚れていると、何処かのドアがガチャと開く音がした。  顔を上げると、開いていたのは礼拝棟へ続く通路のドアだった。そこから出てきたのは、見知った二人。 「あ、おはようフィアちゃんっ、ございますサリカさん!」 「ふふ、おはようございます、ステラ、ノストさん」 「二人ともおはよー」  姿が見えなかったフィアちゃんとサリカさんだった。二人は私と隣のノストさんに挨拶しながら、この食卓に近付いてくる。 「ちょうど朝食ができたところだよ。冷めないうちに、みんなで食べちゃおう」 「おー、いつもながら、さすがだねぇイルミー」 「お兄ちゃん、いつもありがとう」 「はは、どういたしまして」  テーブルの上のメニューを見て声を踊らせたサリカさんの横を通りすぎ、この細長い食卓の、短い辺……上座の席の傍に立って、フィアちゃんはイルミナさんに言った。私の隣に立ったままのイルミナさんは、フィアちゃんに嬉しそうに微笑む。お兄さんのイルミナさんに対しては、やっぱりさすがのフィアちゃんも敬語じゃないみたい。ふふ、やっぱり家族だなぁ。  私も、手前にあった席に腰を下ろした。フィアちゃんも、その上座につく。フィアちゃんがこのミディアの長(?)っていうのもあるけど、その方が周囲にリュオスアランの被害がないから、という理由の方が強いからだそうだ。  そしてイルミナさんは、ノストさんの正面に座ったサリカさんの隣の席……つまり私の前の席に座った。 「あ、じゃあ、いただ……いてもいいですか?」  皿の横にあったスプーンをとって掲げ、今にも食べちゃいますな格好をとっといてなんだけど、私はイルミナさんに聞いてみた。だって、なんかみんな動かないし……私、食い意地張ってるみたいじゃん。まぁ、食べるのは確かに好きだから否定はしないけど。 「くくっ、わざわざ聞くんだ。いいよいいよ、全然オッケー」  私に少し遅れてスプーンを手にとったイルミナさんは、噛み殺そうとしたけど無理だった笑いを漏らしながらそう言って、スプーンをスープの中に入れた。……今、ここには、グレイヴ教団の神官さんが三人も揃ってるから、食べる前に何かお祈りでもするのかなって思ったんだけど。しないらしい。 「それに、ほら、見てみなよ」 「え?」  サリカさんが意味ありげに私の左側を指差すから、私はそっちを見て……目を見張った。  私の左側に座るのは、ノストさんだ。そのノストさんのスープは、見た感じ、すでに3分の1くらいは量が減っていた。お皿ごと持って飲んだわけでもないから、どうやら、私が動き始めるより先に食べ始めていたらしい。  そ、そうか……この人、マナー完璧すぎて食べる時すべて無音だから……!気付けるはずない。 「あ、ステラ。次は、どちらに向かうのですか?」 「あ……」  パンを持ったフィアちゃんが、思い出したように聞いてきた言葉に、私は、自分達がカノンフィリカの行き先を見届けるために、ここに来たのだと思い出した。  カノンフィリカがフィアちゃんの手に渡るのはしっかり見たし、オマケにどういう力かもわかったから、これ以上、私達がここにいる理由はない。そしたら、次に向かう先は……ルナさんの知り合いだっていう、カルマさんがいるフェルシエラだ。だから……今、この朝食が終わったら、私達は次の目的地へ旅立つんだ。  ……そっか、もうお別れなんだ。せっかく、フィアちゃんとお友達になれたのに。やっぱりちょっと、寂しいな……。 「うん……フェルシエラに行くんだ。ルナさんの知り合いの、カルマさんって人に会いに行くの」 「へぇ、カルマに会うの?」 「ふふ、懐かしい名です」 「えっ……フィアちゃんも、イルミナさんも、カルマさんを知ってるんですか?」  スープを飲んで言うイルミナさんと、パンをちぎってスープにつけるフィアちゃんがそう言うから、私はびっくりして聞いていた。フィアちゃんは「ええ」と頷いた。 「なにせ、ルナの知り合いである以前に……カルマは、彼の戦友であり、相棒である、唯一無二の存在なのですから」 「彼、って……?」 「当然、ヒースさんだよ」 「……え」  フィアちゃんの言葉を継ぐようなイルミナさんの言葉に、思わず、スプーンの動きが止まった。 「ヒースとカルマは、当時のゲブラーでも特に目立った存在でした。剣豪ヒースと、影武者カルマ。カルマは目立つことを嫌って、いつもヒースの陰に隠れていたので、世間的にはヒースの名しか知れ渡っていませんが……」 「え……つ、つまり、カルマさんは……お父さんの、大切な大切な、お友達……?」 「ええ、そういうことです」  ………………私は、今までにないくらい長い時間、停止していた。  同時に、胸に広がる、今までにないくらいの期待。  お父さんの、親友。……ルナさんを追っていたのに、まさかそんな人に出会うことができるなんて。  今まで、ルナさんを身近に知っている人には会ってきた。サリカさん、スロウさん、フィアちゃん、イルミナさん、その他誰か。  でも……お父さんを身近に知っている人は、今のところ、スロウさんとフィアちゃんしかいない。だから……お父さんのこと、いろいろ聞けるかもしれない。  そっか……ルナさんはお父さんの弟子だから、お父さんの友達のカルマさんが、ルナさんを知ってるのは当然なんだ。もしかしたら、カルマさんはスロウさんとも顔見知りかもしれない。 「なんだか……嬉しいです。お父さんのこと、身近に知ってる人には、あんまり会ったことなかったですから」  素直に思ったことを笑顔で言うと、イルミナさんが『えっ』て感じで、一瞬驚いた気配をした。えっ?と私もびっくりすると、サリカさんが心底おかしそうに笑い出した。フィアちゃんは終始笑顔。 「あははははっ!! いやぁ、そうでもないよ?」 「へ??」 「フフフ、なんでもない」 「……??」  ……ますますわけがわからない。サリカさんは、さっきより大分収まってきたけど、小さく笑いながらパンを持ってかじる。  え、え?どういうこと?私、1回くらい、お父さんの知り合いに会ったことあったっけ?も、もしかして私、気付いてないとか~っ!? うっそーん! 「あ、ノスト君、食後の紅茶でも淹れようか?」 「あぁ」  なんて、正面のイルミナさんが、イスから腰を浮かせながら言うもんだから、私がなにーっ!?と思って左側を見ると、ノストさんのお皿は確かに空だった。は、早っ……!  イルミナさんに対してノストさんは、頬杖をついたデカイ態度で偉そうに一言で注文するけど、それはむしろしっくり来る返事だった。この無駄な気高さというかが、妙に貴族っぽいっていうか……本人の前で「無駄に」とか言ったら殺されかねない!  食事途中だったイルミナさんが、紅茶を作るために厨房に引っ込む。私は一口残っていたパンを食べて、ふと思ったことを聞いてみた。 「そういえば、イルミナさんとフィアちゃんって何歳違いなの?」 「えっと……4歳、ですね。お兄ちゃんが22歳で、私が18歳です」 「………………え、ええぇえッッ!!? フィアちゃんって、18歳なの!?」 「え?ええ、そうですよ?」  ガタン!とイスを倒す勢いで立ち上がった私。キョトンとこちらを見上げるフィアちゃんは、絶っっっ対私と同じくらいで。  うそーっ!? ずっと同い年だと思ってた!だって私と身長同じくらいだし、やっぱり外見が少し幼いっていうか!どーりで喋り方とか大人っぽいわけだよ! 「ははっ、フィレイア様は身長が低いからねぇ。まぁ仕方ないかなぁ」 「じゃ、じゃあ、年上じゃないですか!や、やっぱり敬語……!」  基本的、私は年上には敬語で話す。やっぱり人生の先輩?だし。だから、同い年くらいに見えるセル君やミカちゃんには、タメ口なんだけど。  私が思わず口走った言葉に、フィアちゃんが少し寂しそうになったのが見えて、私は言葉を詰まらせた。 「……でも友達だから、敬語じゃなくて大丈夫だよね!」 「ええ、そうして下さい」  よく考えてみれば、私はフィアちゃんの友達ってことで、敬語を使わないでいる。その人が年上だろうが、友達なのには変わりない。それに気付いて私が言うと、フィアちゃんはホッとしたように微笑んだ。 「あ、そうだ二人とも。出発する直前でいいから、礼拝棟に来てくれないかな。特にステラ」 「へ?あ、はい……」 「信者勧誘ならコイツだけにしろ」 「え、え?! わ、私だってお断りですよ!」 「フフ、そうしとくよ。とてもじゃないけど、ノストに神官務まると思えないからねぇ」  そ、そりゃまぁ……!想像できないよ!こんな人が神官になったら、教団終わりって感じする……!っていうか、私の言葉はスルーかいっ!  やっぱり毒舌全開なノストさんと、それを笑顔で牽制するサリカさん。……なんか、すっかり見慣れちゃったな。 「少し、カノンフィリカについてね」