→→ Sanctus 13


「……はぁ、はぁ……っ……」


 足が、前に進まない。頻度の短い苦しそうな呼吸をしながら、椅遊は、壁伝いに重い足を引きずって歩いていた。
 ……と、くらっとめまいがした。壁の手すりに縋るように寄りかかって、倒れるのだけは阻止する。倒れてしまったら、もう起き上がれないような気がした。

 耳元で、夕鷹の声でルトオスが言う。


 ―――――平気……ではなさそうだな


「はぁ、はあ……ううん……だい、じょぶ……」


 ―――――元々、鍛えている身ではない上に、一度にかかる負荷が大きい

 ―――――しかし、よくここまで進んでこられたな。賞賛に値するぞ、誓継者ルース椅遊よ


 そんな感心したルトオスの声は、まったく耳に入っていなかった。少し休んだ後、椅遊は、もう目前に見える出口に向かって、再び歩を進める。

 椅遊が閉じ込められていたのは、プロテルシアの最奥だった。地下1階の、一番奥の会議室。
 最初のドアを魔力で消滅させたのを皮切りに、すでに何度か魔力を放出している。と言うのも、どうやらプロテルシアで貯蓄していた電気が切れたらしく、自動ドアやエレベーターがまったく稼動しなかったからだ。
 ドアを幾度か消し飛ばしてから非常階段を上り始めたが、その頃には、すでに完全に息が上がっていた。這い上がるように1階に上がってから、再び、行く手を阻む自動ドアが何枚も現れ、そいつの相手をさせられた。何よりも、このプロテルシアの内部を熟知しているわけではないため、無駄な労力を使ってしまった。
 そしてようやく、出口に一直線に伸びる廊下に出た。意地でも倒れないように、壁の手すりをしっかり掴んで進んでいるところだ。

 胸が締め付けられるように痛い。喉が渇いて痛い。
 きっと、倒れ込んでしまえば楽なのだろう。喉の渇きは癒せずとも、体を動かさなくて済む。
 それでも、その空色の瞳は、まっすぐ出口だけを見据えていた。


 ――――― 一度捕まり、そして自力で逃げ出す。すべては空界と、イースルシアの国民のためか

 ―――――貴様が得することはない。むしろそれは、苦しく厳しいものばかりだ

 ―――――貴様がそこまでひたむきになる理由が、感情など無いに等しい余には理解できぬな


 魔王ルトオスの言葉を、ぼんやりながら聞いて、ふと椅遊は思った。
 夕鷹は、聖王バルストの、カケラほどもない感情部の人格であると言っていた。ということは、ルトオスにも似たようなものがあるのだろう。
 なら、きっと彼も……

 ルトオス、あなたは、ひとつだけまちがってる。
 ひとのためだけじゃない。じぶんのためでもある。
 わたしにも、とくすることはある。


 ―――――ほう。それは?


「……うれしさ……だよ」


 自分の行動で、世界と人々が救われる。よかったねって、みんなで笑っていられる。
 そしたら、自分も嬉しい。この笑顔が守れたのなら、嬉しい。


 ―――――……やはり理解できぬ


 当然のように椅遊が言った言葉を、ルトオスは短い沈黙の後、やはり変化のない口調で言った。


 ―――――余らは、空界の貴様らの想像から生まれ落ちた、純粋なる聖と魔の守護者だ

 ―――――先に生まれ落ちた神は、光と闇を有する存在だった。しかし、有しているのみで、守護者ではない。神が司ったのは、空界の理のみだ

 ―――――故に人々は、良くも悪くも人を導く、聖と魔の守護者を信じ始めた。それが形となったのが余らだ


 ……世の中には、善い人もいれば、悪い人もいる。それは言わずとも知れた理である。
 しかし、一体それはなぜなのか? ――その問いに対し、良い方向へ、悪い方向へ、それぞれ人を導く存在がいるからだと、人々は考えた。
 光と闇を有する空界の存在は、聖に触発されれば善人に、悪に触発されれば悪人に、どちらにも転じる。それは一度だけではなく、一生涯、幾度でも発生する分かれ道だ。
 その想像から誕生した、二人の守護者。


 ―――――光と闇を有する神は、不純である故に、絶対の神の夢うんめいを紡ぐ一方、空界と人々が不完全である象徴だ。それ故に、神は人間的な感性を持つと言う

 ―――――しかし、守護者である余らに求められたのは、混じりけのない存在であること。故に、一面しか持たぬ余らは、感情はほぼ持ち合わせていない


 人々が想像したように、聖王は気高く実直、魔王は気まぐれで人を惑わせる性格を持った。
 気まぐれな魔王ルトオス。恐らく今、自分に己の力を貸してくれているのも、気まぐれなのだろう。自分とシンクロしたという、先例のない自分に興味を持って、力を貸してくれている。
 理由はなんでもいい。貸してくれるなら、使うだけだ。
 イースルシアと、世界と、人々を救うために、魔王の力を振るう。


 ―――――過去に、空界に大量の死をもたらした原因ともなった余の力で、人助けをすると言うか

 ―――――余の力が、救いになるとは思えぬな。そういうふうにはできておらぬ。聖力もだ

 ―――――強いて言うなら、この力ですべてを滅尽させることが救いか


 それは違う。力はきっと、使い方次第だ。
 貴方は力を貸してくれればいい。私が上手く使ってみせる。

 椅遊の心の声を読んで、ルトオスが楽しげに笑った。


 ―――――誓継者ルースとは言え、一介の人間の分際で、余に命令するか。面白い小娘だ

 ―――――ならば、やってみせるがいい。貴様が行く先を、余も見届けるとしよう


 珍妙だったり、目新しいことには目がないらしい。少しルトオスの性格がわかった椅遊は、人間と変わりないその事実に、思わず小さく笑った。

 出口まで、あと数歩。


「あと……すこ、しっ……」


 自分に向けて、言い聞かせる。あと少しだから、それまで持って。
 ううん、それだけじゃダメだ。まずはそこまで持って、それから、プロテルシアからできるだけ離れて……

 そう思っているうちに、出口の自動ドアの前に着いた。


 ―――――外に複数の気配があるな。あの妙な力を振るう男でも、エルフの女でもない


 玲哉でも、天乃でもない……?
 なら……夕鷹達?

 逸る気持ちを抑えつつ、ドアに手を当てて、魔力を放出した。ドアが無音で消滅し、外の景色が見えるようになる。
 相変わらずの曇天の空。草木の生えない荒地。その風景を見て、椅遊は目を見開いていた。


 期待していた、椅遊の目に映ったのは―――……





  ♪ * ♭ * ♪ * ♭ * ♪ * ♭ * ♪ * ♭ * ♪ * ♭ * ♪ * ♭ * ♪





 采と楸が地を蹴ったと同時に、梨音は聖術を発動した。


「第10章、『聖帝の咆哮』発動」


 詠唱後、『拒絶の守護』で囲んである彼らの手前に、木のように枝分かれしたまばゆい白光が地から生えた。純粋に、術に変換した己の聖力を放出する術だ。聖王である夕鷹の聖力ほどではないが、触れれば危険なことには変わりない。
 巨大な白い珊瑚のような聖力に対し、二人は予測通り、寸前で方向転換する。采は直前の地面を蹴って跳躍、楸はいったん勢いを殺し、白い珊瑚を迂回する。時間差の攻撃をするつもりだとわかった。


「イオンッ、采よろしく!」


 珊瑚を飛び越えて頭上から降ってこようとする采を一瞥してから、六香は楸に銃口を向けた。采は小柄故に的が小さいから、恐らく自分の相手には向かないだろうと考えた上での行動だ。


「とりあえず、そのうぜぇ結界ぶっ壊す!!」
「やらせないわよっ!!」


 大剣を大きく振りかぶってくる楸の腕と足を、六香は両銃でそれぞれ狙撃する。ちょうど跳んだ瞬間だった楸は、足への弾丸をかわし切れないと判断、利き手ではない腕を差し出して代わりに銃弾を受けた。腕への攻撃は掠り傷に留め、傷を負った腕と利き手で大剣を大きく横薙ぎする。


「第12章、『煌然の軌跡』発動」
「『黒き雷、黒き力。集え、アルテス』」


 采は、上から襲来する自分に梨音が放った聖術の迫り来る閃光を、大鎌に宿した対となるアルテスの力で両断した。そのまま『拒絶の守護』に切りかかる。
 そして、上と横、両方向から、二人の攻撃が同時にぶつかった!


 ギッ――ィィィイッッ―――!!!!


「きゃあっ!?」
「ぐあぅっ……!!!」


 この二人の強さは知っている。覚悟はしていたが、初撃で壊されそうなとんでもない威力だ。まだ楸が手を負傷した分、削がれているはずだが、それでもこの威力だなんて。
 凄まじい衝撃に、六香が思わず首を引っ込める。梨音は奥歯を噛んで悲鳴を噛み殺し、ビリビリ振動を続ける結界の中、楸に向けて、霞む視界で、すでに詠唱していた『景の不動』の針を放った。
 気付いた楸が跳んで後退する。かわされたと思ったが、着地したところで楸の動きが止まった。驚いた顔をした彼の目の動きを見ると、どうやら大剣の影に引っかかったらしい。


「しっかりしてイオン!!」


 その頃には、頭上の采に、六香が引き金を引いていた。采は彼女を一瞥してから、楸の方に跳んで大きくそれを避け、その傍に着地。流れるような動作で屈んだかと思うと、楸の動きを止めていた黒い針を引き抜き、ヒュっとこちらに返してきた。
 こちらは、大分ダメージを受けたと言え、『拒絶の守護』がある。あのような軽い武器、弾かれて当然だ。それは向こうもわかっているはず。
 六香が訝しんだ直後、視界の隅で、肩を上下させていた梨音の動きが止まったのが見えた。


「「!?」」


 驚愕しつつ、ざっと目を走らせると、黒い針は『拒絶の守護』スレスレの地面に突き立っていた。それは、結界内からわずかに出ていた梨音の影を完全に縫いとめていて。
 はっと六香が、銃を向けながら楸の方を振り返ると、自由になった楸が、もう目の前にいた。


「第16章、解除リリース……!!」
「く……ッ!!」


 至近距離。照準を絞る間はないが、外すことはない。六香は迷うことなく、とにかくトリガーを引いた。銃弾が楸の肩や腕にもぐり、彼が顔をしかめたのが見えた。
 横に振り抜かれようとしていた大剣の先が、その痛みにややブレた時。



「―――――やだ……!! だめ、やめてえッ!!!」

「「「「っ……?!」」」」



 突然割り込んできた甲高い悲鳴は、四人の誰もが予想もしなかった第三者だった。思わず全員が動きを止め、声の方を振り返ると、知っている声の主が泣きそうな顔で駆け寄ってきた。


「みんな、けんか、だめ!! やめて!ひさぎ、きずっ……!りおん、だいじょぶ……!?」


 戦っていた四人の間に躊躇いなくやって来た椅遊は、心配そうな顔で、傷を負っている楸の前に立ち、彼と疲労困憊な梨音とに声をかけた。この場にいるはずのない椅遊の姿に、四人ともが、ポカンと彼女を見つめる。
 ――やがて、驚きから立ち直った六香が、瞬きして、ようやく声を発した。


「……え、え?? ど、どーゆーこと?椅遊、アンタ……自力で脱出してきたの!?」


 信じられない、と目を白黒させる六香を振り向くと、椅遊は少し疲れた顔で頷いた。


「うん……ルトオスのちから、かりて……」
「ってことは……魔力で……?確かに……入り口の自動ドア、消滅してる……」


 椅遊の言葉を聞いて推測した采は、プロテルシアの、綺麗に空洞になった入り口を見て、納得したように呟いた。

 ――六香、梨音、采、楸。四人を見渡す。四人とも、呆然とこちらを見ていた。
 皆が動きを止めてくれたのを確かめて、椅遊はホッと安心したように小さく笑った。


「……よかった……けんか、もう……しないで……」
「……椅遊?」


 だんだん細くなっていく声でそう言い、椅遊はふらっと後ろに倒れかかった。ちょうど後ろにいた楸が何気なく支えて、その肩が激しく上下していることに気付く。


「お前……走ってきたのか?」
「……ううん……ルトオスの……ちから……つかうと……」
「……そう、でしょうね……走ってきたのも、あるでしょうが……ルトオス直々の、魔力は……強力ですから……負荷がかかるはず、です……」


 六香が梨音の影に突き立っていた黒い針を抜いてやると、梨音はゆらりと立ち上がりながら言った。切れた息のまま、警戒した目で楸を見てから……ふと、その視線がやや横にズレた。それに伴い、背後の方から、何かが近付いてくる気配がかすかにする。
 梨音以外の皆がそちらに目を向けたのを見て、椅遊も支えられている格好で見やると、暗い空に紛れるように、黒い点が見えた。


(……あのひと、は……)

「アレって……」
「……姉さん……?」
「天乃?」
「何で……こんなところに」


 五人が訝しがり瞬く間に、黒い点はどんどん大きくなっていき、細部がわかるようになる。それは間違いなく、凄まじいスピードで翔ける〈フィアベルク〉に乗った天乃の姿だった。
 前に采、楸と戦った後、彼女は何もすることなく、二人の前から去った。それ以降、ずっと姿を見ていなかったのだが、こんなところにいるなんて。

 全員の視線が集まる中、彼らの正面に下り立った〈フィアベルク〉。漆黒の飛竜の上から顔を覗かせた天乃は、五人を見下ろして、珍しく何処か焦った様子で言った。


「今、玲哉が二ノ瀬夕鷹と戦ってる」
「「「「――!?」」」」
≪ありャ死んだなアイツ。ヒャヒャヒャッ!≫


 天乃の簡潔な一言に、椅遊を除いた四人が一斉に声を失った。〈フィアベルク〉が追い討ちをかけるように、おかしそうに笑う。


「う、ウソッ!? アタシ達より先に会っちゃったら計画が水の泡じゃないっ!イオン、このままじゃ……!!」
「楸、僕達もだよ……!玲哉より先に、夕鷹を殺さないといけないのに……これじゃあ……!!」


 焦った表情の六香と采が、それぞれの相方を振り返って言った。

 玲哉と夕鷹が戦うというのは、両者ともに最悪の事態だった。六香と梨音側は、取引が成立しない。采と楸側は、先に夕鷹を殺さないといけない。
 そして、玲哉と夕鷹、どちらが勝つのかは目に見えている。夕鷹がバルストになれば逆転するが、ソーンが傷ついている今は時期が悪すぎる。

 形勢がどちらに転んでも、夕鷹は危険に晒される。
 何もしなければ、恐らく、玲哉によって夕鷹はなす術もなく殺される。
 だが、『開眼』したら、玲哉を圧倒できると同時に、夕鷹を形成しているソーンが壊れる。
 ――このままでは、完全に玲哉の思惑通りだ。


(……ゆたかが……しんじゃう……?)


 楸に背中を支えられた体勢で、椅遊は薄く目を開いた。
 耳の奥で鳴る鼓動と、自分の荒い息と、疲労のせいで散漫する注意力のせいで、声がよく聞こえない。しかし、周囲の会話から、椅遊はなんとかそれだけを読み取った。

 ……玲哉と夕鷹が、戦う。
 圧倒的な力を持つ玲哉。
 聖王を内に宿す夕鷹。

 以前のプロテルシアでの出来事を思い出した。
 バルストになった『夕鷹』が、血を吐きながら聖力を振るう姿。
 例えそれで玲哉に力で勝っても……それじゃ……しんじゃうよ……。


「喋ってても仕方ねぇ、行くぞ采!」
「六香さん、ボクらも、行きましょう……!」
「わかってる!でも椅遊は?! 連れて行ったらまずいわよね!?」
「置いてくしか、ないけど……こんなとこじゃ……」

「―――わたしも、いく……!!」


 自分を置いていくというのを敏感に聞き取った椅遊は、薄目だった目を開き、がばっと身を起こした。そして、とっさに楸の服をガシっと掴んで、ブンブン大きく左右に首を振る。
 縋るような椅遊の目を直視できず、楸は助けを求めるように、椅遊の後ろにいた梨音に目をやった。……どうやら楸は、とことん椅遊のお願いに弱いらしい。
 梨音は仕方なく、彼の代わりに口を開いた。


「椅遊さん……貴方が行けばどうなるか、わかってるはずです……」
「梨音の言う通り、だよ……ごめん、椅遊……連れて行けない」
「だって!ゆたかが、しんじゃう……!!」


 楸の後ろからやって来た采にも諭すように言われるが、椅遊は泣きそうな顔で首を振る。横に六香も来て、彼女も申し訳なさそうに言ってきた。


「椅遊、ごめん……でも、わかってるでしょ……?気持ちはわかるけど……」
「わかってないっ!!!」


 キッと六香を見て、椅遊はきっぱりその言葉を跳ね除けた。思わず言葉を失う六香を見据えたまま、椅遊はぎゅっと服を掴む拳に力を入れた。
 力強い瞳で言う。


「みんなで、みんなをまもるって……!やくそく!みんなずるい……!わたし、だって……!!」
「椅遊さん……」


 わたしだって、みんなをまもりたい。
 なかまはずれなんて……そんなの、いやだ。

 夕鷹には、たくさん助けられてきた。
 ……今度は、自分が助ける番だ。





 ふぅ……と、小さな嘆息が耳元を撫でた気がした。


 ―――――貴様が選んだのは、危険極まりないその道か。いくら余の力が使えるとは言え、その疲労状態で助けになるのか疑問だがな

 ―――――余はどう転んでも知らぬ。だが、まぁいいだろう。余興だ。やってみせるがいい


 ルトオスの声。夕鷹と同じ声。
 そんな声が、そう小さく背中を押した。

 ……と。
 椅遊の足元から、見慣れない紫色の陣が回転しながら広がった。その陣は、動揺するその場の全員をあっという間に囲う。


「……?!」
「何だっ?!」
「ウソッ、魔術!?」
「これは……!」
「有り得ない……!」
≪おォ、ルトオスの魔術じゃねェか≫


 天乃、楸、六香は中心の椅遊をばっと振り向き、魔術の知識がある梨音と采は、足元の陣を見下ろし、そのあまりに複雑な作りと、コレの発動にかかるだろう膨大な魔力の量を推定して絶句した。すでに知っているらしい〈フィアベルク〉だけが動じずに言う。
 自分を始点に突然展開した陣を見て、わけがわからずにいる椅遊の耳に、不敵な口調のルトオスの声が届く。


 ―――――空界の魔術は、『聖と魔の予言神話ガリカエス』が基盤ゆえに限度があったが、余が組み上げる術式にはそんなものは存在せぬ

 ―――――貴様が余の力を使うたびに、同調率が高まっていたようだな。貴様を通じて、余も力を振るえるようだ

 ―――――と言っても、誓継者ルースを通しているとは言え、召喚とは話が違う。神の牽制を受けている以上は、所詮この程度か


 よくわからない語句が出て理解できないところもあったが、つまりコレはルトオスが一瞬で組み上げた、魔術と似て非なる術のようだ。
 一体何が起こるのかと、その場の全員が身構える。すると、開き終えたその陣に紫の光が走り……、


 そのまま、意識が遠のいていった。










 ……………………










 わたしが、ゆたかのたてになる。

 だから、みんなは―――――






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